ベター・ホリデイ、ベター・ワールド 旅行会社のサステイナビリティ報告
2019.07.22 08:00
欧州の6月の猛暑のニュースは各国政府に即刻気候保全政策実施を促すグレタ・トゥーンベリの金曜日集会を思い起こさせた。6月中旬に世界最大の旅行企業グループのTUI(ドイツ)は、18年度サステナイビリティ報告書を発表。非財務情報開示を定めた14年EU指令はドイツでは17年に発効し、従業員500人以上の企業は環境・社会・ガバナンスに関して開示義務を負う。ドイツ旅行業協会は、旅行会社はCO2削減などサステイナビリティ報告書が肝要と述べている。業界をリードするTUIグループの報告書のキャッチは「ベター・ホリデイ、ベター・ワールド」とあり、74ページにわたって対策と結果、活動方針等詳細に説明している。
報告書によればサステイナブルツアー(エコツアー)の需要が高まっている。18年には顧客920万人がエコラベルのホテルを利用し前年比12%増加。エコラベルのホテルは従来ホテルと比べ1泊平均CO2排出量10%、廃棄物量24%、水使用量19%低い。エコ電気を23%多く利用している。TUIホテル&リゾート(保有ホテル130軒)の81%は、第三者によるエコホテル認証を受ける。
同グループはエコツアーの利用を20年までに1000万人に増やす計画で、エコラベル認証ホテルに過去4年で2900万人が宿泊した。エコ休暇体験を重視する「TUIコレクション」は18年に前年比15%伸び、120万人が参加。環境負荷の最小化、地元民の利益向上に配慮した持続可能基準を満たすツアー商品である。
傘下の航空会社5社は中長距離機材を約150機保有しエコ効率に配慮している。世界の大手航空会社200社の持続可能性を比較する気候保全非営利組織アトモスフェアの18年インデックスでは、TUIエアウェイズ(英国)が再度1位となり、TUIフライ(ドイツ)は4位に位置する。クルーズ部門では省エネ新造船への投資等を進め、この4年間に旅客1人1泊当たりのCO2を11.7%削減した。
プラスチックごみ対策では18年末までにグループで1億4000万個の使い捨てプラスチックを削減。新行動指針によりホテルだけでも1億1200万個を減らし、20年までにグループは2億5000万個のプラスチックを削減する。報告書はさらに地元利益、教育、訓練等々の記述が続く。
16年にTUIケア財団を設立し、休暇先の恵まれない若い人々の教育訓練、福祉、自然と動物保護、環境保護の分野で活動している。20年までにプロジェクト年間予算を1000万ユーロに上げる予定。プロジェクトの1つであるTUIアカデミーは、20年までに計1万人の恵まれない若者の教育訓練を目指し、すでにドミニカなど5カ国で成功裏に始動している。別のプロジェクトでは、例えば現地の小農家のエコ農業移行を援助し、地産の安全な農作物を休暇客に供する流通を促す。報告書は活動の具体的内容を詳細に説明している。
16年にTUIケア財団を設立し、休暇先の恵まれない若い人々の教育訓練、福祉、自然と動物保護、環境保護の分野で活動している。20年までにプロジェクト年間予算を1000万ユーロに上げる予定。プロジェクトの1つであるTUIアカデミーは、20年までに計1万人の恵まれない若者の教育訓練を目指し、すでにドミニカなど5カ国で成功裏に始動している。別のプロジェクトでは、例えば現地の小農家のエコ農業移行を援助し、地産の安全な農作物を休暇客に供する流通を促す。報告書は活動の具体的内容を詳細に説明している。
日本での関心低く
気候変動への関心が高い欧州では旅行商品もエコロジー配慮が欠かせない。日本でも環境に優しい旅行やホテルへの関心は高まるが、世界と比較するとまだ低い。4月にブッキング・ドットコムが行った調査は、全世界の旅行者の7割がサステイナブルトラベルの必要性を感じているが、日本は4割で低いと分析している。
グループ4●旅行業界と外国政府観光局で永年キャリアを積んできた4人により構成。大学の観光学部で教鞭をとったり、旅行業団体の幹部経験者もいる。現在、外国メディアで日常的に海外の観光・旅行業界事情に接し、時宜に応じたテーマで執筆している。
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