消費額8兆円のロードマップ、2020年までに何が必要か

2019.05.27 08:00

目標達成への具体的な施策検討と実行が求められる (C)iStock.com/eelnosiva

訪日外国人の旅行消費額を20年に8兆円にするという目標が政府目標で定められたのは16年3月。それからはや3年が経過した。15年の3兆5000億円と比べると2倍を超える意欲的な目標だったが、20年を翌年に控えた今、達成が危ぶまれている。

  「明日の日本を支える観光ビジョン」では、20年に訪日客4000万人という目標も同時に定められ、1人当たり20万円の旅行消費を乗じて8兆円とする設定であった。訪日客数を見ると、15年以降も年々伸びており、18年には3119万人となった。初めて1000万人を超えた13年からの5年間で年平均24.7%という世界的にもまれな急成長を果たし、4000万人の到達に近づいた。だが、前年比成長率は15年の47.1%増をピークに年々下がっており、18年は8.7%増だった。19年、20年の前年比成長率が18年と同じだと20年時点で3687万人となり4000万人に届かない。

 日本政府観光局(JNTO)の推計値によると、19年の1~3月は前年比5.7%増とさらに成長が鈍化していることもあり、4000万人達成にあと一歩届かない懸念がある。18年の3119万人から13.2%増の前年比成長を2年続けることが必要であり、東京オリンピックに関連する上積みや、クルーズの振興などによる再加速が求められる。ただ、17年は前年比19.3%増を見せており、また18年は台風などの自然災害のマイナスの影響が強く見られたこともあるため、期待を込めて20年に4000万人を達成する前提で以降の試算を行うこととする。

 一方、1人当たり消費額(単価)は目標の20万円に非常に遠い。14年は15万1174円であったところ、翌15年に16.5%増の17万6167円と大ジャンプを見せたが、以降は3年連続で減少となり、18年は15万3029円(クルーズ客を除く)で14年の水準から伸びていない。8兆円達成の前提だった単価の増加は実現できていないどころか、目標設定を行った直前の15年から大きく減らしている。

 18年の15万3029円のまま20年を迎えるとして、20年の旅行消費額を試算しよう。試算の前提として、18年の訪日外国人旅行者数に対するクルーズ客の割合は7.5%であるが、これが4000万人達成時点でも同様と仮定する。クルーズ客の単価は18年の4万4227円のままと仮定する。すると、外国人旅行消費額は5兆7900億円という結果となり、目標に遠く及ばないことがわかる。

 クルーズ客の全体での割合を固定したまま20年に8兆円を達成するためには、クルーズ客以外で21万2621円が必要であり、訪日客全体が欧米や中国からの旅行者並みの旅行消費をしないと達成できない水準である。厳しい状況ではあるが、以下で目標達成への突破口を見出したい。

シェア伸びない欧米豪

 まず着目すべきは、国籍・地域ごとに見た単価の差である。15年と18年の数字を見ると、ほぼ国籍・地域ごとの傾向に変化はない。主要20市場で20万円を超えているのは15年も18年も6市場であるが、構成する国・地域は変わっておらず、欧州の4カ国(スペイン・イタリア・英国・フランス)とオーストラリア、中国となっている。

 一方で、低いのはアジアで、特にわずか7万円台の韓国が突出している。下位7カ国はいずれもアジアの国・地域である。この主要因は明らかで、滞在日数の差である。欧米豪は、通常は滞在期間が長くなるほど大きくなる宿泊・飲食の金額が全国籍・地域の平均に比べて著しく大きい。そのため、旅行消費の促進において欧米豪市場の重要性が説かれる。逆に韓国が少ないのも滞在期間でほぼ説明がつく。近隣からの旅行者は滞在期間が概して短いため単価も低く、遠方からの旅行者はその逆である。

 18年の単価トップ10を見ると、欧米豪の各国がひしめいているが、中国とベトナムは例外として顔を出している。中国は他の費目は平均と大差がない一方、買い物代が極端に大きいため上位にある。また、ベトナムは18年は平均38.0泊と平均の4倍前後の長期滞在が見られるため上位にある。なお、ベトナムは単価を平均泊数で割った1泊当たり消費額の単純計算では20市場中19位の4957円であり、市場の特殊性を物語っている。

【続きは週刊トラベルジャーナル19年5月27日号で】

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