観光航路の運航要件緩和 、国交省が新制度 多様なルート促進

2019.04.15 17:51

 国土交通省海事局は4月1日、インバウンド船旅振興制度を創設し、日本船が運航する観光航路の許可・届け出基準を緩和した。

 観光航路は運航形態によって日数やルートに一定の制限が設けられているが、柔軟なルート設定や需給に応じた運航ができるようにした。客船会社に新しい航路の開拓を促し、訪日FIT客を取り込みやすくすることで地域活性化につなげる狙いがある。

 旅客船事業には、①特定の航路をダイヤどおりに運航するフェリーや離島航路などの一般旅客定期航路、②遊覧船や貸し切り形式の不定期航路、③イベント船や海上タクシーが航路を決めずに運航する「人の運送をする不定期航路」があり、制度では1と3を緩和した。

 訪日客の利用を主に見込むケースに適用する。人の運送をする不定期航路では、年間3日以内を目安としていた同一ルートの利用を30日以内に拡大した。これまでは需要が見込めるルートでもあえて異なる航路を設定したり、期間が短いため定着しないケースがあったが、季節運航などがしやすくなる。

 定期航路は、利用客がいなくてもダイヤどおりに運航する必要があったが、予約状況に応じて欠航や抜港が可能となる。「新たなルートへの参入障壁を下げる狙いがある」(海事局内航課)という。

 この前段階として、海事局は16年4月から、生活航路に悪影響を及ぼさないと認められる地区をモデル地区に定め、旅客船の運航を弾力化する実証実験を行ってきた。結果、18年には、新潟県沖の離島・粟島と北陸新幹線からのアクセスが良い新潟港を結ぶ航路が夏限定で44年ぶりに復活した。「事業者の創意工夫が促進された」と見て、全面的な導入に踏み切った。

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