英国の旅行業者は「3分の1が破綻危機」、BBC調査で物議
2019.02.18 16:45
企業のリスク分析を手掛けるカンパニーウオッチがまとめた英中小旅行業者の財務レポートが波紋を呼んでいる。財務基盤の脆弱さが明らかとなり、アナリストが「3分の1相当が21年までに破綻の可能性がある」と衝撃的な予想を展開。調査はBBCが委託したもので、同ラジオ放送で取り上げ、インデペンデントなどが続々と報じた。英国旅行業協会(ABTA)はこの分析に真っ向から反論している。
調査は旅行会社2584社とツアーオペレーター(日本のホールセーラーに相当)1325社に実施。TUIやトーマスクックなどの大手は除外し、中小の旅行業者を対象とした。報道内容を総合すると、旅行会社の25%、ツアーオペレーターの21%は総資産額がわずか2万5000ポンド(約360万円)以下と極めて少ない。多くが販売した旅行の手配にかかる経費を下回る状況にあり、アナリストは「財政的な中身が明らかに欠如している産業」と指摘した。
英国は目下、欧州連合(EU)からの離脱交渉をめぐる混乱を背景に、経済の先行きへの不透明感が高まっている。分析では、旅行業者の多くがヨーロッパ各国の休日を利用した旅行需要に依存しており、「EU離脱に伴い不安定な状況に直面する」との予想も示した。
これに対し、ABTAは調査が正確性を欠くと指摘。「加盟社のうち過去3年間で破綻したのは3社で全体の1%にすぎない」と反論した。ただし、ABTAには現在、約1200社が加盟するが、TUIなど大手が含まれる。
財務状況は消費者の信用に直結する。ABTAが昨年11月にまとめた旅行トレンド報告の最新版によると、旅行会社の選択基準として、消費者の45%が「継続的な信用」を挙げており、14年の24%から倍増している。
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