旅行大手の談合巡り、指名停止拡大 青森県外でも 排除措置命令は修旅カルテル以来
2024.06.17 00:00
公正取引委員会は、青森市の新型コロナ患者移送業務の指名競争入札を巡り、旅行大手5社が独占禁止法に違反した事実を認定し、うち4社に排除措置命令を出した。旅行大手の談合は09年の修学旅行代金を巡る価格カルテルに続くもの。今回は市側にも不適切な対応があったとして改善を要請した。国内の自治体では、旅行会社への指名停止が広がっている。
青森市が22年度に5回行った入札で、近畿日本ツーリスト(KNT)、JTB、日本旅行東北、東武トップツアーズ、名鉄観光サービスの支店長級社員が事前に協議を重ね、KNTが落札できるよう入札価格を決め、落札後はKNTから他4社に業務を委託して利益を分け合っていた。落札額は計約3200万円。
公取委が調査に入る前に違反を自ら申請したKNTは処分対象から外れた。日本旅行東北と東武トップツアーズも申請したが、調査開始後だったとみられる。一方で課徴金はいずれにも科されなかった。本来は納付命令の対象になり得るが、算出された課徴金の額が納付対象の範囲に満たなかった。
公取委は4社に独禁法順守の行動指針の作成・改定や従業員への周知徹底、定期的な研修や監査を求めた。また、5社はJATA(日本旅行業協会)の東北支部青森県地区委員会の会合で入札価格の連絡を行うなどしていたとして、JATAにも周知徹底を申し入れた。なお、JATAは3月に発表した不正再発防止策で地区委廃止の方針を示している。
談合認定を受け、各社に入札参加資格を一定期間停止する措置が相次ぐ。青森県・市はもとより、栃木県や愛知県、佐賀市なども発表。対象企業や期間は異なるが、各社の業績だけでなく、自治体の事業遂行に影響を及ぼす可能性もありそうだ。
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