地域交通、路線廃止・減便予定5割 3社に1社が累損10億円超 経営に赤信号
2022.09.12 00:00
地域公共交通総合研究所が全国の鉄軌道、バス、旅客船事業者を対象に実施した経営実態調査で、コロナ禍が公共交通の経営に与えた災禍は極めて根深いことが浮き彫りになった。特に地域公共交通機関は深刻な状況で、今後の路線や経営維持のためには「単なる小手先の対策では済まない」と指摘している。
調査は約500社を対象に20年4~9月期から半期ごとに行い、今回で4回目。人流制限が解除されたことで景況感が改善し、輸送人員の減少が一見好転しているように見えるが、21年度は19年度に比べ30%以上落ち込んでいると回答した事業者が3割を占めた。この2年間の累積損失が5億円を超える事業者は5割に達し、2社に1社。10億円超は3社に1社で、20年度上期から2倍に積み上がった。
21年度末で余剰金が3割以下になった事業者はいまだに2割を占める。債務超過も2割と依然として高い率で推移するなど、地域公共交通の経営には赤信号が点灯している。
今後の対応として減便を予定する事業者は3割、路線廃止が1.4割で、廃止と減便で5割近くに達した。4割は現状の路線を死守するものの、バスと旅客船で各1社が事業撤退を検討している。利用客数はリモート化や社会生活の変化と訪日客の落ち込みにより、コロナ禍前に比べて1~2割以上は戻らないと懸念している。
調査では行政が取り組むべき課題も指摘した。短期的には、人流制限緩和の継続と両立するコロナ禍対策、累積損失に対する補助・支援、雇調金といった支援の継続などを提言。中期的には、法整備や財源の確保、さらには「乗って残そう公共交通国民運動」の早急な発動などを求めている。
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