空港民営化の改善策を提言 国交省有識者会議、審査簡略化や契約弾力化

2022.03.21 00:00

 国土交通省の有識者会議は、空港経営改革をさらに進めるため、国が管理する空港の民間委託(コンセッション)の仕組みの改善策やコロナ禍を踏まえた契約のあり方について、提言をまとめた。審査の簡略化などが柱。国交省は今後の案件から、改善策を実施していく。

 提言では、仕組みの改善策として、委託事業者を選定する1次審査で参加者が3者以下の場合、収支計画など提案内容の審査を省略できるよう求めた。応募者の負担を軽減する。2次審査では、運営権対価など各審査項目の配点や採点方法等について、それぞれの案件の背景・事情を踏まえた柔軟な検討を要請した。過去の事例から、運営権対価の額への配点が高い一方、その他項目では差がつきづらいとの意見が出ていた。さらに空港の脱炭素化など、新たな社会的課題への取り組みを事業者の選定過程の段階から促す手法の必要性などを指摘した。

 コロナ禍を踏まえた実施契約のあり方では、不可抗力による損害等を回復する場合に認められる運営契約期間の延長について、期間の上限枠を撤廃するなど、案件に応じた弾力的な仕組みの検討を要請。また、運営権対価の国への支払いで、案件ごとに分割払いを柔軟に認めるなどの支援措置・損害補填措置の検討を求めた。

 コンセッションは、滑走路等の航空系事業と旅客ターミナルビル等の非航空系事業を一体的に経営して運営を効率化し、地域の活性化や利用者の利便向上を図るのが狙い。16年の仙台空港を皮切りに、高松空港、福岡空港、熊本空港、新千歳など北海道内7空港、広島空港で行われてきた。事業目的の再確認や仕組みの改善等について、定期的に検証している。

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