サステイナブルな旅、送客側も着手 JATAが海外旅行再開見据え
2021.07.19 00:00

JATA(日本旅行業協会)は海外旅行の再開を見据え、サステイナブルなツーリズムに本腰を入れる。地域の社会、経済、環境への影響を十分に考慮した持続可能な観光は、旅行者を受け入れる地域側の基盤整備が進む一方、送り手となる旅行会社の取り組みは立ち遅れている。新型コロナウイルスの世界的流行を機に持続可能性は以前にも増して叫ばれており、収束後の新たなツーリズムの形として推進する。
旅行市場の復活に向け、海外旅行分野で重視する施策と位置付けた。「旅行は旅先の観光資源を住民とシェアすること。マスツーリズムを否定するものではないが、どうすれば共存共栄できるか、しっかりとした考えを持って進めていく」(菊間潤吾副会長〔ワールド航空サービス代表取締役会長〕)。背景には、伝統的な暮らしが息づく北欧の島で中国人観光客の受け入れを拒否する事例が出てきたことなどがある。いたずらに消費せず、地域コミュニティーに歓迎される旅行商品と送客のあり方が問われている。
日本は欧州などに比べて持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みが進んでおらず、とりわけ旅行業の遅れが指摘される。「コロナ収束後に日本だけが遅れている状況は避けたい」(同)。また、固有の文化が色濃い小規模都市への旅行はOTA(オンライン旅行会社)が手掛けることが難しく、既存旅行会社の利点にもつながるとみている。
7月下旬から開催するセミナーで旅行会社への啓蒙に取り組む。加えて、指標についても検討する。世界観光機関(UNWTO)は世界観光倫理憲章を定めているが、「十分ではなく具体的な指標をつくる必要がある」(志村格理事長)との考えで、社会貢献委員会で検討を開始する計画だ。
【あわせて読みたい】SDGs、観光産業の遅れ顕著 環境配慮型の旅、意識高まる 旅のサステナブル認証 消費者に選ばれる事業者の要件
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