ANA、非航空収入倍増の4000億円へ あきんど社員が地域密着 アプリで経済圏
2021.04.05 00:00
ANAグループは非航空事業収入の倍増を目指し、22年度に立ち上げるスーパーアプリを基盤に独自の経済圏を創出する。ANA セールスから商号を変更した地域創生事業会社のANAあきんどとプラットフォーム事業会社のANA Xが中心となり、航空や旅行のみならず、日常でマイルを使って生活ができる世界をつくる。長引くコロナ禍で航空需要の早期回復は見込みづらい。マイレージ会員約3700万人の顧客基盤を生かし、非航空収入を19年度の約2000億円から5年後に4000億円に拡大する。
ANAセールスの旅行事業を吸収したANA Xが旅行のほか、保険や金融など日常生活の領域に事業を広げ、アプリで予約から決済まで完結できる仕組みを構築する。旅行も計画から旅先の体験までアプリ1つで提供する。井上慎一代表取締役社長は「航空一本足からの脱却が必要」と強調した。
地域で提供する商品の発掘や誘客はANA あきんどが担う。観光や農水業の振興、雇用など地域の課題解決を図り、自治体や生産者を支援することに主眼を置く。鍵となるのが全国33の支店で、軸足を航空券販売から地域創生事業に転換し、計約120人がコンシェルジュとして地域に密着する。
地域へのソリューション提供事業はビジネスモデルの変革を迫られている旅行各社がこぞって注力する成長領域だ。すでにレッドオーシャンの様相を呈しているが、ANAグループは人、航空ネットワーク、物流を有し、自社で完結できることを強みとする。ANA あきんどの髙橋誠一代表取締役社長は「競争は非常に厳しい」としながらも、「コロナ下で都市から地方へさまざまなものが分散する流れがあり、チャンスが広がる」とみている。
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