嵯峨嵐山の5商店街、閑散ぶりを逆手に誘客 売り上げ減少に歯止め
2020.03.02 00:00

京都・嵯峨嵐山地域の5商店街でつくる嵯峨嵐山おもてなしビジョン推進協議会は、新型肺炎の影響で訪日客が急減し人が少ない状況を逆手に取り、国内客を呼び込むキャンペーンを始めた。「スイてます嵐山」をキャッチコピーとするポスターを加盟200店舗に配布し、阪急梅田駅や嵐電大宮駅などに掲示。一部店舗では特典も用意した。今が行き時とアピールし、売り上げ減少が続く現状を打開する。
春節休暇後半の1月27日に中国政府が団体客の渡航を禁止して以降、売り上げの減少が深刻化した。訪日客は中国や台湾が3~4割を占め、欧米人も多い。新型肺炎の影響は中華圏だけでなく、欧米市場にも及んでいる。協議会幹事を務める嵐山商店街の石川恵介副会長は、「平均1~2割減だが、団体客を受け入れる大型店舗は特に打撃が大きい」と話す。
不謹慎ではという意見も出たが、桜のシーズンを控えて長期化は避けたいところ。「すべてのリスクを考えれば何も行動しないことになるが、危機感が先に立った」(同)。大自然に囲まれ屋外が多い特性も後押しし、店舗に手洗いやうがい、アルコール消毒などの徹底を求めたうえで2月14日から実施に踏み切った。
協議会は10年に発足。近年はオーバーツーリズムの問題を受け、ごみ対策や訪問時期・場所の分散化に注力する。外国人急増の一方で日本人は経済的理由や混雑回避で減少傾向にあり、キャンペーンは国内客を取り戻す契機にもなる。石川副会長は「どの国にも分け隔てなくおもてなしをしようというのがポリシー。訪日客はむしろ日本人が好む場所に行きたがる。外国人ばかりという所もあるなか、嵐山はそうなってはいけない」と話している。
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