観光遺産の官民ファンド発足、全国10カ所で消費拡大の基盤整備
2019.07.08 15:43
官民ファンドの地域経済活性化支援機構(REVIC)は民間企業や地方銀行と組み、文化・自然遺産を軸に地域の消費拡大を図る「観光遺産産業化ファンド」を設立した。観光事業者に投融資や経営人材の投入を通じて、地域に訪日客を呼び込み、滞在と消費を促す基盤づくりを支援する。総額30億円で、投資先は全国10カ所程度を想定している。
REVICがAGSコンサルティング、ANA総合研究所、凸版印刷、エヌ・ティ・ティ・アドとともにファンド運営会社の観光産業化投資基盤を設立。横浜銀行など地銀5行の出資協力を得て運営する。REVICはこれまで地域の金融機関と組んだ投資が中心だったが、「交通や集客などさまざまな課題が見えてきたなかで、民間企業の力が必要と判断した」(渡邊准代表取締役専務)という。
遺産の世界観やストーリーを体験できるアクティビティーをはじめ、宿泊、飲食、物販、交通を整備し、入館・入園料を基盤とする見物型観光から、体験の対価で収益を上げるモデル事業をつくる。投資先企業はDMOや観光関連企業、金融、遺産、公益法人など多岐にわたる関係者を連携させる司令塔役となる。日本航空、東日本旅客鉄道、ウィラー、近鉄グループホールディングスも戦略的パートナーとして事業支援に関わる。
まずは阿寒摩周国立公園がある北海道や岩手(平泉・遠野・三陸)、神奈川(三浦半島・箱根)、山梨(富士山周辺・甲府)から着手する。日光を擁する栃木や静岡、三重、奈良、和歌山、兵庫も候補地。総額の8割をこれら地域に投じるほか、集客状況の把握や生産性向上に必要なデータ基盤整備やITC導入のための投資も行う。
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