異業種の視点、なぜいま旅行業なのか

2019.04.08 08:00

異業種の参入で新しい旅行ビジネスの波が… (C)iStock.com/adventtr

ここ数年、さまざまな分野から旅行業への参入が相次いでいる。それも音楽事業のエイベックス、コミュニケーションアプリのLINE、ECサイトのDMMドットコムなど、いまを時めく企業ばかりだ。旅行の舞台に勝負を賭ける異業種企業が見いだした商機と勝算とは。

 旅行業は参入障壁の低い業種とされてきた。海外旅行の企画・造成・販売こそ一定の資本力が求められるが、国内旅行販売ならば家族経営の零細企業でもクリアできるレベルまでハードルは下がる。特別な設備投資はいらず、かつては「電話とデスクがあれば旅行業を始められる」といわれたほど。現在も本質的に参入ハードルの低さにかわりはない。とはいえここ数年の異業種参入を促しているのはハードルの低さではない。

 旅行業界は常に異業種企業を引き込んで大きくなってきた。海外旅行が急成長した1970年代から80年代にかけて多くの異業種が参入。三越や伊勢丹、西武といった当時の有力百貨店に加え、ダイエーやジャスコ(現イオン)といった大手スーパーも参入した。流通事業者は成長マーケットを取り込む狙いもさることながら、顧客サービスの一環としての価値も見ていたようだ。

 出版業界からの参入の動きは本業の延長としてビジネスを拡大させたいとの思惑が透けて見える。80年代に海外旅行情報誌「エイビーロード」で一時代を築いたリクルート・グループは海外・国内の旅行をオンライン販売する「エイビーロード」「じゃらんnet」といったOTAサイトを運営している。「地球の歩き方」で海外旅行ガイドの分野に先鞭をつけたダイヤモンド・ビッグ社も、90年代に「アルキカタ・ドット・コム」を通じて旅行ビジネスに進出している。

 もう1つの流れはインハウスだ。経済成長期からバブル期にかけて企業出張が活発化すると、海外出張業務を自前で行い自社内で利益を循環させる発想が広がった。その結果、三菱商事等の商社、東芝、日立、東レ、ブリヂストン、コマツに代表される製造業など各分野でインハウス旅行会社が設立された。インハウスは80年代の海外旅行ブームを受けて一般消費者を対象とするレジャー旅行の分野にまで進出したケースも少なくなかった。

 インターネットの普及が加速した2000年代、オンラインビジネスとしての旅行に注目が集まる。いまでは業界を牽引する存在でもある楽天トラベルも当初は異業種参入組だ。宿泊予約サービスを開始した当初、楽天はまだ「楽天市場」を立ち上げて間もないECサイト運営のベンチャー企業。いち早く旅行分野に着目した慧眼が現在の成功のベースになっている。

 しかし、インターネット系の異業種参入組は、合従連衡を経て成長してきたヤフートラベルを除けば、すでに旅行業界を去ったケースが多い。2000年に旅行サイト「スカイゲート」を立ち上げたソニーや、後にスカイゲートを買収して旅行業に参入したDeNA、携帯電話の位置情報利用のゲームで急成長し10年にリアルな旅行業にも進出したコロプラなどがそれだ。

スマホ時代の勝ち組が参入

 新しい異業種参入の波は3年ほど前から起きており、狙いはさまざまだ。本業とのシナジーを色濃く打ち出したのが、ミュージックエンターテイメントを手掛けるエイベックス。16年にエイベックス・トラベル・クリエイティヴを立ち上げて、ライブや映像事業、アーティストなど同社にしか提供できないコンテンツを活用した旅行体験の提供を目指している。同年にはナビゲーションサービスのナビタイム・ジャパンも旅行業に参入し、「NAVITMEトラベル」サイトの運営を開始している。

【続きは週刊トラベルジャーナル19年4月8日号で】

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