地域経済の好循環へDMO支援強化を 日商が国に支援要請 人材・財政面に課題

2024.07.08 00:00

 日本商工会議所は、新たな局面を迎えている日本の観光に関する要望をまとめた。国が重点的に強化すべき施策を提言したもので、「地域経済の好循環を促す観光地域づくりの促進」「地域に人と投資を呼び込む地域ブランディングの促進」「観光産業の持続的発展に向けた環境整備」の3本柱を掲げ、その実現を働きかけていく。

 このうち観光地域づくりの促進では、DMOの戦略策定や地域における関係者の調整機能の強化を、人材・財政面からさらに支援することを求めた。また、地域の産業戦略の実効性を高めるため、戦略に位置づけられた産業界・事業者のプロジェクトを支援する仕組みの整備、施策の強化を図るべきとした。

 多くのDMOにとって、戦略策定や多様な関係者の巻き込みが課題であることは少なくない。観光庁調査によると、DMOの総合戦略が自治体の観光振興計画と一体でなかったり、そもそも戦略を策定していないDMOが合わせて過半に上る。日商の調査でも、DMOとの協力関係の構築、戦略・コンセプトづくりを課題に挙げた商工会議所は多い。

 しかし、人員や財政が不足するDMO任せでは難しい。商工会議所をはじめとする産業界を巻き込み、地域間の連携強化に向けた旗振りを国に求めた。

 一方、連携と役割分担ができている例もある。地域DMOの気仙沼地域戦略では、観光地経営を会社組織に見立て、DMOはマーケティング、市は総務(インフラ整備)、商工会議所は人事(事業者育成)、観光協会は広報・営業(観光案内等)を担っているという。

 また提言では、観光地域づくりの中核人材の確保・育成に向け、地方大学等における高度観光人材育成プログラムの開発、観光DX の推進を担う人材育成への支援を求めた。