訪日客のコト消費、底上げが課題 コロナ前より拡大も支出割合少なく

2024.07.01 00:00

 24年版「観光白書」によると、観光・レジャー目的の訪日外国人の消費をコロナ禍前の19年と比較したところ、23年は1人当たり旅行支出(消費単価)のうち娯楽等サービス費が約50%増え、体験など“コト消費”に成長の兆しが見られた。ただ、支出全体に占める割合は5.1%と少なく、米国と比較すると極めて低い。白書では底上げが課題と指摘している。

 23年の消費単価は20.4万円で19年から31%増加した。物価上昇に加え、滞在日数が0.7泊増の6.9泊と長期化していることが影響しており、費目別で宿泊費は59%増の7万円に拡大した。娯楽等サービス費はこれに次ぐ伸び。しかし、支出額は費目別で最も少ない0.9万円だった。

 娯楽等サービス費の中身を見ると、購入率の上位は美術館・博物館等(28.3%)が最多で、次いでテーマパーク(25.2%)。観光政策の柱である地方誘客につながる現地ツアー・観光ガイドは3位ながら6.6%。温泉・温浴施設等(6.2%)も1割に満たなかった。

 ひと口に娯楽といっても、支出先は国籍・地域によって違いが明らかだ。アジアはテーマパークへの支出割合が多く、軒並み50%近くを占め、特にシンガポールは57.6%と高い。一方、欧米は美術館・博物館等への支出が多く、特にフランスは40.6%と全体平均の16.6%を大きく上回った。現地ツアー・観光ガイドは米国が25.6%を占めた。

 娯楽等サービス費が消費単価に占める割合は19年から拡大しているとはいえ、米国の13.5%と比較すると差が大きい。観光白書では、国籍・地域ごとの消費傾向を踏まえた体験コンテンツの造成やターゲット市場の設定、発信などにより、底上げを図ることが課題としている。