KNT、ワクチン業務で実績改ざん BPO事業好調の矢先 2.9億円過大請求
2023.04.24 00:00
近畿日本ツーリスト(KNT)の支店が東大阪市から受託している新型コロナウイルスのワクチン接種関連業務で過大請求が発覚した。実績を上回る人件費を市に請求し、その額は約2億9000万円に上る。ワクチン関連など、自治体から請け負うBPO事業はコロナ禍で低迷した旅行事業を補完し、さらなる拡大をにらむ強化領域。KNT-CTホールディングスの米田昭正代表取締役社長は3月の社長交代発表会見で「自治体からの評価が高い」と話しており、その矢先の出来事となった。
問題となったのは、KNT西日本支社関西法人MICE支店が東大阪市から受託しているワクチン関連業務のうち、問い合わせを受け付けるコールセンター業務。市から席数を指定されていたが、21年3月~22年12月受注分に関し、業務の再委託先であるマケレボに指定数より少ない席数を発注。一方で、市には指定席数に基づく人件費を請求していた。今年3月下旬、市に匿名の通報があり、内部調査を進めた結果、問題が明るみに出た。
KNTは過大に請求した金額が確定次第、速やかに市に返納する予定としている。4月17日には、独立社外取締役や外部の専門家から成る調査委員会を設置した。原因の分析や再発防止策の提言などに加え、全国約150の自治体から請け負っているBPO事業についても調査する。
コロナ禍で厳しい経営環境を強いられるなか、GoToトラベルキャンペーン事業の給付金や雇用調整助成金を巡り、旅行業者の不正行為が相次いだ。ここに来て大手旅行会社の不正事案の発生は、旅行業界の信用低下を招く可能性があるほか、新規分野として期待がかかるBPO事業にも影を落としかねない。
【あわせて読みたい】KNT-CTホールディングス、小山新社長「ぶれずに改革推進」 生き残りをかけ退路断つ覚悟 【発言録】「あぐらをかいていた事業こそ」米田昭正氏〈KNT-CTホールディングス代表取締役社長〉 KNT-CT、非旅行業のシェア5割に拡大へ 中間期黒字化の原動力
カテゴリ#観光・旅行業経営#新着記事
週刊トラベルジャーナル最新号
アクセスランキング
Ranking