大阪のIR計画、遂行能力や施設を評価 訪日客誘致には課題 政府が初認定
2023.04.24 00:00

政府は大阪府・市が申請していた統合型リゾート(IR)の整備計画を4月14日に認定した。有識者の審査委員会が国際競争力や経済的効果、運営能力など、多岐にわたる観点から審査し、「認定し得る計画」と結論付けた。大阪のほかに申請していた長崎県については、まだ審査が必要な項目があるとして審査を継続する。大阪は29年の秋から冬の開業を目指し、25年の万博開催地でもある人工島の夢洲で施設などの整備が進められる。
大阪の計画では、複合型の国際会議施設を宿泊や飲食施設などと連携させ、オールインワンのMICE拠点を整備する。開業3年目に来訪者約1987万人、うち訪日外国人約629万人、MICE開催件数約530件を見込む。
5領域25項目を審査した。1000点満点中の6割に当たる600点を「優れている」水準とし、これを満たすことを認定の条件とした。大阪は22項目で6割を超え、657.9点を獲得した。
中でも非常に優れていると認められる8割近くに達したのは、IR事業者の事業遂行能力。海外で実績のあるMGMリゾーツが出資する日本法人と国内で集客施設等を手掛けるオリックスが中核となり、JTBなど少数株主が専門的な知見を提供する体制を評価した。
1兆円という初期投資額の大きさから、雇用など地域への経済効果が見込まれる。2500室を備える予定の宿泊施設はVIP向け客室など、シンガポールと比べ見劣りせず訴求力を持つとした。
一方で、6割に満たなかったのが、カジノ施設のデザイン、観光への効果、地域との関係構築。観光は来訪者数の推計が裏付け以上に意欲的な数字で妥当性に欠ける面があると指摘。特に訪日客の増加に向けたプロモーションや集客が重要と課題を示した。
【あわせて読みたい】IR開業候補地は大阪と長崎に 27~29年めど 和歌山県は白紙
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