富裕層誘客モデルに11地域決定 ひがし北海道や紀伊半島など 地方に消費呼び込む
2023.04.10 00:00
観光庁は消費単価の高い富裕層を地方に呼び込むため、誘客を集中的に支援するモデル観光地に11地域を選定した。22年5月に策定したアクションプランに基づき、付加価値の高い宿泊施設の整備、観光資源の発掘・磨き上げ、ガイドなど人材育成、海外セールス等を支援する。23年度の当初予算1億円に加え、補正予算から約6億円を充てる。消費額の増加と地方への誘客を重視する観点から、国内での消費額が1人100万円を超える旅行者をターゲットに、地方での消費を促す。
全国でバランス良く選定されたが、八幡平や那須など特定の地域がある一方で、北陸など広範なエリアもある。各地域は今後、観光庁の支援を受けながらマスタープランを策定し、体制の整備やコンテンツ開発などに取り組む。
地域が申請した事業計画ベースでは、ひがし北海道の場合、世界遺産の知床や3つの国立公園などの大自然、希少な動植物と人間との共生(アイヌ文化)がテーマ。同エリアはこれまで地域の認知度の低さや域内交通の不便さなどで苦戦を強いられてきた面もあるが、富裕層が旅に求める真正性を打ち出し、「大逆転に向けた戦略」を展開したい考え。
奈良南部・和歌山那智勝浦エリアは紀伊半島一帯を売り込む。世界遺産である紀伊山地の霊場と参詣道を有し、古くからの巡礼と暮らしが共存する世界有数の地域として、1週間の滞在を提案する。上質な宿泊施設の不足が課題となっているが、運営会社などとマッチングする観光庁の事業に昨年採択され、商談などを進めている。
また、11地域以外に、将来的にモデル地域になり得るとして、山形(鶴岡・西川・庄内)、佐渡、山梨富士山麓エリアが継続検討となった。
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