観光立国推進基本計画の改定、担ってよしの視点を 経団連提言 DMO活性化やSDGsも

2022.01.31 00:00

 観光立国推進基本計画の改定に向けた議論が進められるなか、経団連は意見書「持続可能でレジリエントな観光への革新」を取りまとめた。成長戦略の柱や地方創生の切り札である観光がコロナ禍で危機に瀕していることをあらためて指摘。不要不急のものとして捉えられた現状も踏まえ、短期的には観光の存在の維持を、中期的には持続可能で弾力性のある観光への革新が不可欠とした。そのうえで、基本的方針として、自律的観光、新しい型の観光、持続可能な観光に「担ってよし」の視点を加えた4点を示した。

 このうち自律的観光で講じるべき施策では、地域が1つの会社のように一体となって発展を目指す観光地域経営の推進が必要とし、司令塔としてDMOの活性化を求めた。そのためには人材の確保・育成、権限移譲、自主財源の確保に加え、政府による財政的な支援も必要だとした。

 需要の拡大と平準化で経済価値をもたらす新しい型の観光では、消費額や満足度を重視し、人数や件数では滞在延長やリピーター獲得につながる指標が大切とした。施策にはワーケーションとブリージャーの普及・定着、アドベンチャーツーリズムなど新たなコンテンツの展開等を挙げた。

 持続可能な観光では、SDGsの達成や住民のQOL向上につながる指標を設定すべきと指摘。さらに、担ってよしという視点も持続可能な観光の実現に重要だとし、DX の推進等による観光産業活性化の必要性を訴えた。

 また、多様な地域にインバウンドの効果を拡大させる施策も重要とし、本格再開に向け、安心・安全を前提にしたプロモーションの積極展開、富裕層などに向けたコンテンツの造成、MICE 誘致などの必要性を指摘した。

【あわせて読みたい】キーワードで占う2022年 基本計画の新目標からメタバース旅行まで 観光立国推進基本計画、改定先送り 蒲生長官「実効性伴わない懸念」