単価上昇で海外旅行者数の伸び鈍化 JTB総研、コロナ後の市場展望
2021.11.22 00:00
アフターコロナの海外旅行では、物価上昇で旅行1回当たりの消費額が上昇する半面、旅行者数の伸びは鈍化する可能性がある。JTB総合研究所はこのほどまとめたレポート「日本人海外旅行のすべて」(2021年版)の中で、こう指摘した。11~19年は国際観光需要全体で単価の上昇がストップし、旅行者数の伸び率が上昇する現象が起きたが、今後はその揺り戻しが来る可能性があるとしている。
短期的な円安や供給に起因するコロナ禍での物価上昇とは別に、中長期的で緩やかな物価上昇が旅行単価を押し上げ、これが旅行者数の伸びにマイナスの影響を与えるとの見方だ。世界観光機関(UNWTO)の統計によると、11~20年の国際旅行者数の伸び率は4.8%だが、旅行消費単価が上昇すれば人数の伸びは減速する。ただし、旅行消費単価が横ばいならば、人数の伸び率は現状維持とJTB総研は予測している。
アフターコロナの海外旅行で消費者は特に感染対策を含む安心・安全を重視するという調査結果も報告している。2000人を超える消費者調査で、コロナ禍以前よりも重視する項目として、43.8%が安心・安全に旅行ができることを挙げ、リフレッシュ(18.5%)など、それ以外の項目を大きく上回った。希望する旅行先では、日本人が行き慣れているハワイやアジアの国々が上位を占めた。
しかし、日本を含むアジア各国の海外旅行の再開は欧米より大幅に遅れそうだ。ワクチン接種率で後れを取っていたアジア地域は国際線の航空座席数の回復が全く進んでいないためで、早期の需要回復にはアジア広域のワクチン接種率の引き上げと、域内最大の市場である中国発の海外旅行の再開が鍵になるとしている。
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