20年の国際旅行者、最大80%減 需要回復「21年」が最多予想
2020.05.25 00:00
![](https://www.tjnet.co.jp/wp-content/uploads/2020/05/0601_P07-01.jpg)
新型コロナウイルスの流行で国境をまたぐ旅行が制限されるなか、世界観光機関(UNWTO)は5月7日、今年の全世界の国際旅行者が前年に比べ最大で78%減少すると予想した。統計を開始した1950年以来、国際旅行市場が直面する最悪の危機と位置付けた。各国への到着ベースで1〜3月は前年同期比22%減(6700万人減)で、観光消費額の損失は800億ドル。特に渡航制限が広がった3月は旅行者が57%減となり、通年は少なく見積もっても58%減と予想している。
2月予想時の1〜3%減から大幅な引き下げ。1〜3月を地域別に見ると、アジアが35%減と最も影響を受け、次いで欧州19%減、米州15%減と続く。影響が最小の中東でも11%減少した。
海外への旅行解禁は、オーストラリアとニュージーランドが2国間の渡航制限解除について協議するなど、一部で再開の動きが見られる。UNWTOは、渡航制限が7月上旬から徐々に緩和された場合、年間の国際旅行者が58%減と予想し、9月上旬の場合は70%減、12月初旬では78%減と3つのシナリオを示した。人数に換算すると8億5000万人から11億人減、観光消費額は9100億ドルから1.2兆ドル減とし、観光業に従事する1億〜1億2000万人が雇用損失の危機にさらされる。
専門家パネルの調査では、国内旅行が先に回復し、45%がその時期を7〜9月と予想するが、10〜12月以降も40%を占めた。過去の例から、レジャー市場が早く動き出し、VFR(友人・親族訪問)がその中心になると見ている。
海外旅行の回復は21年との予想が最多の39%を占めた。受け入れ地域別で米州は50%が21年にずれ込むと回復の遅れを予想。アジア太平洋と欧州も4割近くが21年と答えた。
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