貸切バスに手数料の報告義務化 、下限割れ抑止へ取引の監視を強化

2019.08.19 08:00

 国土交通省は8月1日から、貸切バス事業者に対し、旅行会社に支払う手数料の記載と報告を義務付けた。

 これまでは、手数料は一般的に定着している商慣習で自由競争のもとで行われるとの認識の下、両者が契約時に取り交わす書面に記載するよう求めるにとどめていた。だが、下限割れ運賃による事業停止など行政処分が後を絶たず、積極的な是正に踏み込んだ格好だ。

 バス事業者が旅行事業者などと交わす運送引受書は8月から、国に提出する事業報告書は今年度分から、それぞれに明記が求められる。個別の運行ごとに支払う手数料に限らず、月や年単位の支払いも該当するとし、広告宣伝費やシステム費などの名目で旅行事業者が収受しているケースでも、そうした実態がなかった場合は手数料と同一とみなし含めることとした。

 国交省は手数料の適正額などは定めていないが、こうした対策により、旅行事業者による過大な手数料請求の抑止につながるとみている。また、行政や第三者委員会が実質的な下限割れ運賃となっているかの総合的な判断を行いやすくする意図もある。

 調査体制も強化する。バス事業者に対して運賃の原価計算などで手数料が安全コスト確保を阻害していないかを調べ、旅行事業者には料金の収受や目的を確認したうえで手数料に該当する否かを調査する。

 これらの調査結果を総合し、第三者委員会の助言を受けつつ違法性を判断する。

 観光庁は、「旅行業者による過大な手数料の収受が実質的な下限割れの要因につながっていないか、これまでよりも明確な判断ができるようになる。主体的に調査していく」(旅行振興参事官室)としている。

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