航空人材不足、外国人やシニア活用 国交省検討会が中間提言 資格見直しも

2024.07.01 00:00

 航空業界で大きな課題となっている航空整備士と操縦士の人材確保・活用に向けて、国土交通省の有識者検討会は2月から重ねてきた議論の中間とりまとめを行った。リソースの有効活用、養成・業務の効率化・強化、裾野拡大の3つの視点から、対応が求められる具体的な方向性を示した。これを踏まえて25年春ごろの最終取りまとめに向けて、官民一体となって積極的に検討を進め、必要な制度改正や協力体制の構築などを推進する。

 整備士については、比較的早期に養成が可能だが取り扱える内容が限定的な運航整備士の資格の業務範囲を広げて、整備士1人で対応できる仕事の幅を拡大する。機種別となっているライセンスを共通化して、1つの資格で複数の機種の整備ができるようにもする。養成施設での教育方法を、一定の訓練時間を積み上げる考え方から能力ベースとした考え方に移行させ、養成期間の効率化を図る考えだ。

 操縦士については、即戦力となる外国人の受け入れ手続きをさらに円滑化するとともに、60歳を超えたシニア人材や女性の活用を推進する。航空大学校の体制も強化する。近年は年平均約70人にとどまっている卒業者数を100人程度に増やすため、老朽化施設の更新や訓練の効率化などに取り組む。

 日本は30年に訪日外客6000万人の政府目標を掲げており、今後、大幅な航空需要の増加・成長が見込まれる一方、それらを支える航空整備士・操縦士の人材確保には大きな課題を抱える。航空整備士についてはコロナ禍以降、志望者数の減少が続き、運航への影響が懸念される。操縦士は高齢化に伴う大量退職時代の到来や、世界的な航空重要の増加による人材の獲得競争の激化などが見込まれている。