旅行心理、家計に余裕なく節約志向 JTB総研調査 20代は海外旅行に前向き

2024.07.01 00:00

 JTB総合研究所が旅行に対する消費者の今の気持ちを調査したところ、物価高が続くなか、消費は全体的に節約モードで、趣味や旅行に関する支出も同様の傾向にあることが分かった。海外旅行需要はコロナ禍前の水準にはまだ遠いが、20代は年内に旅行を計画している人の割合が高く、平均旅行回数もやや増加傾向にあるなど、他の年代と比べて異なる動きも見られた。

 調査は3月、国内の20歳以上の男女1万人を対象に実施した。海外旅行の回復が遅く、国内旅行も旅行支援制度が減ったことなどから需要に落ち着きが見られるため、心理をひもといた。

 景況感は「家計に余裕はない」が48.4%で最も高かった。「普段の生活費も、趣味や旅行も費用を節約している」人は28.1%を占め、「普段の生活は切り詰めるが、趣味や旅行など自分の好きなことにはお金を惜しまない」(17.3%)を10ポイント以上も上回った。

 生活の余裕のなさは30~50代女性が約56~58%と多く、これに比例して節約志向も目立つ。一方、20代女性は50.5%が余裕がないとするものの、好きなことには支出する人の割合は30~50代より10ポイント以上多い。

 海外旅行を年内に計画している人は全体の8.7%にとどまったが、20代は15.5%と平均より高い割合を示した。23年の平均旅行回数はコロナ禍前と比較して全体で0.05回減だが、20代だけは男女ともやや増加傾向にある。

 今後、海外旅行に行くきっかけになりそうなことは、「円高が進めば」(32.2%)が1位で、次いで「休みが取れれば(27.7%)」。20代は一緒に旅行してくれる人がいることや手続きの簡単さが後押しに。一方、回復が遅い熟年層では、「テロなど治安への不安がなければ」などが比較的高かった。