『50歳からの私にちょうどいい美容と健康』 悩み多き世代に寄り添う友人のよう

2024.06.24 00:00

柿崎こうこ著/CCCメディアハウス刊/1694円

 なんてこった、もう58歳である。

 諸先輩方に言われたとおり、45歳を超えたあたりから己の年齢がよく分からなくなってきた。若く見せたいとかボケたとかじゃなく(後者はそうかもだが)、子なし独身中高年という生き物は他人の子どもの受験やペットの老いで己の加齢を自覚するのである。

 とはいえ、仕事でも私生活でもなんとなーく「カウントダウンに入った」感覚はある。体力、気力、能力の限界はすでにだいたい把握しており、これからの人生をどう過ごすか。どう社会や周囲の人、後輩にお返ししていけるのか。歯磨きしながら鏡の中の自分に問いかけてみては、それに答える前に増えた目尻のシワやら眉毛に出現した白髪にびっくりしたりしている。

 ルッキズムはダメとされる現代でも、女性にとって加齢はプライベートでも仕事でも男性とは違う難しさがある。

 4年前に出版した著書の取材撮影に応じるうち、撮られた写真のパッとしない写り具合に、「もう少し、自分がいいなと思える私になりたい」。

 そんな気持ちが芽生えた53歳の著者。いまの、そしてこれからの美容と健康をテーマに自身の暮らしを描いたのが今回のイラストエッセイだ。

 年々変わっていく自分の心身の取り扱い方、医療の力も借りる更年期ケア、快眠、保湿、腸活、スキンケアにメイクにダイエット、さらに気持ちのありようや人間関係……穏やかな文章とかわいいユーモアをたたえたイラストが「いまはこんな感じ」「こういうことを目指してるんですけどね」「これ楽しいですよ」とページから語りかけてくる。「はじめに」にあるとおり、親しい友人との有意義なおしゃべりのような、寄り添ってくれる友人のような、そんな一冊だ。すべての大人女子にどうぞ。

山田静●女子旅を元気にしたいと1999年に結成した「ひとり旅活性化委員会」主宰。旅の編集者・ライターとして、『決定版女ひとり旅読本』『女子バンコク』(双葉社)など企画編集多数。最新刊に『旅の賢人たちがつくった 女子ひとり海外旅行最強ナビ』(辰巳出版)。京都の小さな旅館「京町家 楽遊 堀川五条」「京町家 楽遊 仏光寺東町」の運営も担当。

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