奈良県、JTBに訴訟提起へ コロナ関連業務委託で 契約の認識に隔たり
2024.06.17 00:00
奈良県の山下真知事は6月5日に開いた定例会見で、JTBに委託した新型コロナ関連の業務に関し、同社に債務不履行で損害賠償を求める訴訟を提起する方針を示した。委託料に過払いがあったものの、契約の認識が両者で異なり、勤務実態を確認できる資料の提出に協力が得られないとして、司法の判断を仰ぐ構え。6月18日に始まる県議会で議案を提出する。一方、JTBは「適正に履行が完了しているものと認識している」とコメントを発表した。
問題となったのは、新型コロナウイルス感染防止対策を行う飲食店などを県が認証する制度をはじめ、宿泊療養施設の管理運営、患者移送など、21~23年度に委託した計19件。県はJTB奈良支店と契約していた。
県によると、去年7月の監査委員事務局の監査結果で県に過払いの疑いが生じ、その後の再点検でJTBが提出した職員の勤務日数などの資料を点検したところ、業務精算時の実績報告書と差異があることが、9件で判明した。過払い額は6375万円。残る10件は一部の勤務実態資料が提出されていないといい、仮に過払いがあったならば、合計で約2.1億円の可能性がある。
県は契約形態について、実績に基づいて後に精算が必要な契約とするが、JTBは契約時の額で精算する請負(総価)契約との認識。同社は「県の質問に真摯に回答し、協議の場を求めてきたが、その機会なく公表となった」と驚きを隠さない。今後も協議の機会を求め、適切な対応を取るとしている。
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