京都観光産業、業況改善も従事者は待遇への満足度低く 市調査 人件費は増加

2024.03.25 00:00

 京都市観光協会が実施した観光産業事業者と従業員への調査で、業況は改善し、人手不足解消への投資も行われている一方、従業員側は待遇面の満足度が相対的に低いというギャップが見られた。調査は昨年12月から今年2月にかけて行い、事業者200社、従業員663人のサンプルから分析した。

 事業者のうち、観光客からの売り上げが前年から増加したのは64.0%で、22年の前回調査を1.5ポイント上回った。22年から23年にかけての増減率の平均値は77.1%増で、前回調査から17.4ポイント増。景況感についても楽観視している事業者は9.3ポイント増の24.5%とかなり改善した。

 経営課題のトップは原材料・燃料高で事業者の61.5%が挙げるが、前回より6.5ポイント減少。一方で、次に多かった採用難(59.0%)と人件費負担増大(48.0%)は拡大した。

 従業員数を増やした事業者は37.0%、人件費総額の平均増減率は19.9%増と、ともに大幅に増えた。ただ1人当たり人件費の平均増減率は10.3%増でほぼ横ばい。増えた事業者の割合が20ポイント近く上昇すると同時に、減った割合も約15ポイント増えた。

 従業員への調査では、収入が増加した人は46.8%となり、前回調査を14.8ポイント上回った。ただ、給与・賞与など待遇への満足度は調査8項目中、下から2番目で相対的に低い。事業者調査でも、待遇向上への取り組みはわずかに低下している。

 職場環境や人間関係は重要度・満足度とも高く評価する従業員は多く、業界での就労継続意向も65.8%が肯定的と高め。ただ、業界で働き続けることに「とてもそう思う」は15.9ポイント低下し、「まったくそう思わない」を大きく上回った。