市場の回復、訪日と海外旅行に差 水際緩和でインバウンド急増 日本人出国者は足踏み

2023.01.30 00:00

 日本政府観光局(JNTO)によると、22年1~12月の訪日外客数は383万1900人で、21年の約15.6倍(1458.6%増)に回復した。10月11日からの水際対策緩和の効果が顕著で、1~9月の月間平均は約11.4万人にとどまっていたが、10~12月では約93.4万人に急増した。9月の21万人が10月は50万人、11月は93万人、12月には137万人と100万人を突破してコロナ禍前の45.8%減まで回復した。それでも年間では19年比88.0%減と約1割で、人数は1996年並みの水準にとどまっている。

 国・地域別で人数が多かったのは韓国(101万2700人)がトップで、唯一の100万人台。以下、台湾(33万1100人)、米国(32万3500人)、ベトナム(28万4100人)、香港(26万9300人)と続いた。訪日市場最大の規模を誇ってきた中国はゼロコロナ政策を続けたことで、2019年比98.0%減の18万9000人にとどまり、訪日市場全体の急速な回復の実現を阻む足かせとなった。

 一方、海外旅行は回復の足取りが遅い。22年の日本人出国者は277万1700人で21年比では441.1%増だが、19年に比べると86.2%減。いまから46年前の1976年と同水準にとどまった。

 年間では訪日市場より回復率が高いとはいえ、月別に見ると足踏み状態が顕著だ。1~3月は4万~7万人台で4~6月は12万~17万人台、7月は28万人と少し上向いたが、8~11月は30万人台で停滞。12月でようやく43万人となったものの、1日当たり入国者数上限の撤廃など規制が緩和された10月以降も19年比で70%台のマイナスが続く。

 JATA(日本旅行業協会)など旅行業関連団体は、円安や旅行費用の高騰など外的要因に加え、消費者のマインドセットが根本的原因と見ており、解消に取り組む。

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