観光白書、事業者の厳しさくっきり 負債比率高く 黒字は支援策が下支え
2022.07.04 00:00
22年度版の観光白書で、観光関連事業者の経営が厳しい状況に直面している実態があらためて浮き彫りになった。新型コロナウイルス感染拡大に伴い観光需要の減少が長期化するなか、先行きが明確に見通せず、特に宿泊業や旅行業で影響が大きい。白書では、今後の事業継続と雇用確保に対する懸念を解消するため、きめ細やかな支援策等が重要などと指摘した。
観光関連産業の19~21年の動向を宿泊業、飲食サービス業、陸運業のほか、旅行業を含む生活関連サービス業で分析した。売上高は特に宿泊業と生活関連サービス業の回復の度合いが遅く、19年水準を大きく下回っており、21年7~9月期以降は回復傾向にあるものの依然厳しい状況にある。経常利益は、21年後半以降やや持ち直した営業利益とほぼ同様に、21年10~12月期は4産業すべてが黒字となったが、各種支援策によって下支えされているためと見ている。
第3次産業活動指数における観光関連産業の動向を見ると、第3次産業全体や小売業に比べて落ち込みが大きい。宿泊業は21年に入って上昇が見られ、旅行業者も東京五輪関係の外国人旅行の特需や国内旅行需要が改善傾向にあった。ただ、感染者数が再び増加し始めた22年1月には、観光関連産業の活動指数は再び大きく減少した。
負債の返済余力を表す負債比率も全産業(金融保険業除く)を上回っている。負債比率が高いほど返済余力が低く、特に宿泊業が群を抜いて高い。旅行業を含む生活関連サービス業も21年10~12月時点で高まりを見せている。
実際の倒産事例の中でも宿泊業と旅行業ではコロナ関連による倒産の割合が高いことから、引き続きの支援策を求めている。
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