旅先納税で地域へ来訪促進 観光を返礼品に 北海道などで導入増加

2022.05.09 00:00

電子商品券を加盟店で見せると電子スタンプを押印

 旅先納税の仕組みを活用して観光客の来訪促進や消費拡大を図ろうという自治体が増えている。旅先納税は、ふるさと納税の返礼品として地域でのみ使える電子商品券を受け取る仕組み。スマートフォンから旅行前や旅行中に即座にふるさと納税ができる。東京のeギフトプラットフォーム事業会社ギフティがシステムを開発した。19年11月に岡山県瀬戸内市が導入して以降、これまでに北海道の猿払村、伊達市、倶知安町、山梨県笛吹市の5自治体が採用している。普及に向けてコンソーシアムも発足した。

 一般的なふるさと納税の場合、名産など返礼品の受け取りが目的になりがちで、地域に興味・関心は持ってもらえても実際の来訪につながる効果がどの程度あるかは不透明。しかし、旅先納税なら直接的な来訪につながり、これまで返礼品の恩恵を受けづらかった宿泊施設や飲食店・土産物店、観光施設等にも経済的メリットが生まれる。

 21年8月に導入した伊達市のケースでは、e街ギフトDATEMO(ダテモ)が返礼品。寄付額は5000円、1万円、5万円、10万円の4種類から選べて、3割相当額の電子商品券を受け取れる。有効期間は取得から90日間。加盟店での支払いの際に利用したい金額を1円単位で入力して提示し、電子スタンプを押してもらえば決済が完了する。加盟店数は4月16日現在で宿泊や飲食、土産物・物産、アクティビティーの計31施設となっている。

 ギフティは関係自治体などとともに旅先納税広域連携コンソーシアムを設立した。旅先納税の継続的な改善や広域連携、地方創生の実現に向けた普及活動などを展開する。瀬戸内市、笛吹市、伊達市のほか、一般社団法人ワインツーリズムなども参画した。

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