旅行業の6割が最終赤字に転落 TSR調査 コロナ初年度より業績悪化
2022.04.11 00:00
コロナ禍で2年が経過し、旅行業の業績が1年目よりさらに悪化している。東京商工リサーチ(TSR)の調査によると、国内の旅行業者1110社の21年12月期の売上高は計7241億5400万円で前期比71.2%減となり、前期の減収幅(9.0%減)から大きく落ち込んだ。2年間で売上高2兆円が消失した格好。損益も黒字を保っていたコロナ禍初年度から赤字に転落した。20年夏に始まったGoToトラベルキャンペーンが21年は再開されず、東京五輪も無観客開催となるなど、長引く移動・行動制限が低迷に輪をかけた。
調査は3期連続で比較可能な企業を対象に抽出し、分析した。このうち最終損益が判明したのは587社で、21年は合計で1795億2100万円の赤字となった。19年は利益560億6900万円を計上していたが、20年は69億1100万円へと黒字幅が縮小。コロナ禍2年目は一気に赤字に転落し、損失額も大きかった。赤字企業は65.4%を占めた。
増減収別に見ると、87.4%が減収となった。前期は1回目の緊急事態宣言発令でゴールデンウイークの観光需要が消失したものの、7月からのGoTo トラベルに支えられ、減収企業は67.1%だった。21年は県民割などの需要喚起策が実施されたが、旅行先が近場にとどまり、売り上げに影響した。
減収にあえいでいるのは小・零細企業が中心だ。従業員5人未満が52.6%を占め、5~10人未満と合わせると75.6%に上る。TSRは小・零細企業は特定の観光地や旅行形態に特化した事業者が多いとし、なかでも海外旅行に特化した小規模事業者を渡航制限が直撃した。入国制限の緩和は徐々に進んでいるが、入国者数の上限や感染症危険情報など本格再開への障壁は残り、厳しい経営環境は続いている。
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