『リッツ・カールトン 最高の組織をゼロからつくる方法』 リーダーが目指すべき道はかくありき
2022.02.28 00:00
アニメ『進撃の巨人』ファイナルシーズンが始まってまた個人的ブームが再来しているワタクシですが、漫画ばっかり読んでるわけではございません。たまには(?)業界人にストレートにお役立ちな本もご紹介しよう。
おこがましすぎて口が曲がりそうだが、宿屋を始めたときに理想のサービスとしてイメージしたひとつがリッツ・カールトンだった。価格も規模も比較にならぬが、自分が旅ライターとして滞在し最も強烈な印象が残っているのがリッツなのだ。スタッフが自分の裁量で動き、お客さまという塊でなく個性ある人間として扱われる感覚をゲストに与えるリッツ式接客。大型ホテルチェーンでどうやってこれを実現させているのか。本書は創業者がその成り立ちとノウハウを語った1冊だ。
若き日のシュルツが思いついた「紳士淑女にサービスを提供する紳士淑女」という考えは彼のホテル人生のモットーとなる。「私たちはサービス業界のドアの影でゲストにかしずく召使いではない」。(そうだそうだ!)
彼のすごさは、モットーを振り回すだけでなく、実現のためにどうするかという考察力と実行力が常にセットなこと。「従業員は誰でも2000ドルまで自由に使って構わない」といった名高いリッツのルールはこの姿勢から生まれた。お客の身になって考えるとはどういうことか。苦情にはいかに対応すべきか。生身の人間を雇うのは、どんな責任が伴うことなのか。リーダーはなぜビジョンを持たねばならないのか。
立派な人の成功譚、という感じではなく、実例から導かれる問題点と解決方法、リーダーが目指すべき道を簡潔にわかりやすく説いた、あらゆる業界人、リーダー的立場な人に応用できそうな仕事論だ。
山田静●女子旅を元気にしたいと1999年に結成した「ひとり旅活性化委員会」主宰。旅の編集者・ライターとして、『決定版女ひとり旅読本』『女子バンコク』(双葉社)など企画編集多数。最新刊に『旅の賢人たちがつくった 女子ひとり海外旅行最強ナビ』(辰巳出版)。京都の小さな旅館「京町家 楽遊 堀川五条」「京町家 楽遊 仏光寺東町」の運営も担当。
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