新たな取消料でパッケージ旅行喚起
2021.03.22 00:00
ドイツでは昨年11月に始まったロックダウンにより2月には新規感染者数は急速に減少しているが制限措置は3月まで続く。このような厳しい状況で旅行会社は春と夏の休暇旅行の予約を取り込もうと新たなサービスを打ち出し販売を展開している。目玉となるのはパッケージツアー取消料にかかわるサービスである。
フレックスタリフと呼ばれる新商品は、追加料金を支払うことで約款にある変更・取消条件とは別に旅行開始近くになっても無料で旅行キャンセルおよび変更ができるというものだ。旅行会社のウェブサイトには「新発売」「フレックスタリフでフレキシブルな旅行を」「リスクなしで予約」といったキャッチコピーが並ぶ。
旅行予約後の取り消しや変更などの料金支払いに苦労した昨年のコロナ禍の経験は消費者に心理的負担として残り、多くの人が春夏の旅行予約をためらっている。ブレーキとなっているキャンセル料の条件を緩くして、安心して旅行を計画し予約できるようにしようとする試みだ。
休暇旅行研究所の旅行分析2021によれば、コロナ下の消費者の最大の関心事はフレキシビリティーで、旅行したいと考える消費者の半数以上はもしもの時の緩やかな取消条件を求めている。高い取消料やなかなか返金されない旅行代金、トラブルといった昨年の経験を反映している。
ドイツのパッケージ旅行の一般的な変更・取消料はかなり高い。例えば航空機を利用する休暇パッケージ旅行の取消料は14日前で旅行代金の75~80%、30日前でも60%と日本と比べ高額だ。
新登場のフレックスタリフの追加料金は旅行会社によって異なるが、最大手のTUIドイツの商品は旅行代金2500ユーロまで39ユーロ、4000ユーロまで69ユーロ、6000ユーロまで99ユーロとなっている。変更・キャンセルは旅行出発14日前まで無料。DERグループもほぼ同様の条件となる。シャウインスラントは一律1人29ユーロで、出発22日前まで変更・取消料がかからない。FTIは一律旅行代金の3%とし、上限300ユーロ、出発15日前まで解約無料だ。
この新料金が今後永続的に定着するかは不明だ。DERグループは10月末まで適用する。欧州最大の旅行代理店連合のQTAは新タリフは一時的であるべきとして乗り気ではない。欧州消費者センターのドイツ支部は「パッケージ旅行の前払いと高い取消料はもはや機能しない。リスクが消費者に転嫁されている。消費者がこのシステムは合わなくなっていると感じていることを旅行会社は理解しだした」と述べている。
ドイツ旅行業協会は20年の観光について、売り上げは前年比67%減少し、大損失の年になったと総括した。しかし、ワクチン接種の開始とともに夏の休暇旅行予約に増加の兆しがあり希望の光が見えてきている。旅行会社が打ち出すフレックスタリフと早割は、1年間旅行の断念を強いられてきた消費者を予約へと動かしているようだ。今夏の西地中海へのパッケージ旅行予約が昨年末頃から入りだし、長距離ツアー予約についても動きがあり、協会は再びスタート位置につくことができると期待を表している。
グループ4●旅行業界と外国政府観光局で永年キャリアを積んできた4人により構成。大学の観光学部で教鞭をとったり、旅行業団体の幹部経験者もいる。現在、外国メディアで日常的に海外の観光・旅行業界事情に接し、時宜に応じたテーマで執筆している。
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