トラベル懇話会、新潟・古民家ホテル「ryugon」滞在と「大地の芸術祭」視察
2020.11.07 17:00
7月末から「GoToトラベルキャンペーン」がスタートしたのに合わせ、トラベル懇話会は 10月9日から1泊2日、新潟県を訪れるGoTo トラベル研修旅行を実施した。今年は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛や三密回避の観点から、トラベル懇話会でも各種行事を延期見合わせとしいていたが、コロナ禍で打撃を受けた観光産業を支援する政府の施策である GoToトラベル事業を実際に体験し、地方の観光業者の実態や国内旅行需要の実情を把握するために企画、団長の原優二会長(風の旅行社代表取締役社長)をはじめ、16人が参加した。
旅のスタイルはwithコロナを意識し、目的地、新潟県南魚沼の古民家ホテル『ryugon』に集合とした。
JR上越新幹線を利用し越後湯沢駅からシャトルバス、あるいは在来線の六日町駅から地元散策をしながら徒歩、またはマイカー利用と、各自のペースを重視したのも新しい旅のカタチである。新幹線車内は常に換気され、計算上では6分から8分に1回、外の空気と入れ替わる。車内消毒など感染防止対策もしっかり行っていたが、自由席にも余裕があり利用率はコロナ前と比べて未だ少ない印象であった。
古民家ホテル『ryugon』では、井口代表より地域連携DMOによる観光振興の取り組みについてお話を伺った。世界的な豪雪地帯である新潟県、群馬県、長野県の3県7市町村を、広域観光圏=雪国観光圏として徹底的にブランドマーケティングを試み、住民と共創し地域の誇りを醸成する。1つの宿だけですべてを提供するのではなく、地元集落と協業しながら、新たな観光資源の開拓を行い、地域の日常と溶け込むような旅を創り出す。地域はもとより国内外の枠を超えた戦略は、観光産業のこれからを考えるうえで大変有意義な勉強会となった。また、旅館におけるコロナ対策については実際に館内を視察し、入り口での検温、アメニティーの個別包装、アルコール消毒液など、随所に工夫とご苦労がうかがわれた。
観光需要が戻りつつある実感として、当日は団体客が2社から入り全館満室の嬉しい盛況ぶりであった。また、夜は伝統家屋の中で、地産地消の食材による料理と和のおもてなしを受け、温泉で疲れを癒やし、各地に息づく日本の文化を知る旅の喜びを感じる機会ともなった。
翌日は、「大地の芸術祭」の視察を行った。過疎高齢化の進む日本有数の豪雪地を舞台に、農業を通して大地とかかわってきた「里山」の暮らしをテーマに1年を通して自然の中に作品を展示し、アートを道しるべに里山を巡る新しい旅の提案は、芸術による地域づくりの先進事例として、国内外からの注目を集めている。清津峡トンネル「Tunnel of Light」、農舞台、光の館~ジェームズ・タレル~、「キナーレ」など、点在するアート作品を貸切バスを利用し、地元の観光ボランティアガイドの方の案内で見学。貸切バスにおいては、乗務員の健康管理、乗降前の検温、乗降口でのアルコール消毒、車内換気、プラズマクラスターイオン装置の設置、前後座席間の透明アクリル板設置など、コロナ対策も視察した。清津峡トンネルでは4台の貸切バスが停まっており、ここでも観光需要の回復を感じることができた。
当初、東京都除外やさまざまなマスコミの報道にマイナスの印象が強かった「GoToトラベルキャンペーン」だが、10月からの東京解除と共に一気に国内需要が拡大し、前年度を上回る事業者も増えてきたと聞く。今回の旅も旅行代金が35%割引、さらに15%の地域共通クーポンでお土産を購入、なんだか得したような気分になったのは私だけはあるまい。
最後に、ご協力いただいた新潟県雪国観光圏、ミキ・ツーリストの皆様に心より御礼を申し上げたい。
観光産業復興を考える上で大変有意義な研修の機会に恵まれたことに感謝し、今後も知恵を絞りwithコロナ時代を模索してゆきたい。
文・写真/美甘小竹(フィンコーポレーション代表取締役社長)
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