官民で交流拡大続くロシア市場、日露地域交流年がスタート

2020.01.20 00:00

ロシアを訪れる日本人旅行市場は20年も好材料がそろう。近年、サッカーW杯のロシア開催や「ロシアにおける日本年」などで市場が拡大傾向にあるなか、今年は新規路線の開設・増便や日露地域交流年と追い風が吹く。さらなる飛躍が見込めそうだ。

主要観光地のモスクワ。航空路線の充実で、ロシアの渡航先が広がっている

 日本とロシアの交流拡大への機運は、16年の日露首脳会談で首脳同士が交流促進で合意して以降、衰えを見せない。18年から19年にかけて両国で定められた「ロシアにおける日本年」と「日本におけるロシア年」では、両国でさまざまなイベントが開催され、ロシアでは609イベントに計162万5961人が参加した。日本人旅行者に対する歓迎ムード醸成にも貢献した。

 この成功を受け、昨年のG20サミット大阪の両国首脳会談では、20年から21年にかけて日露交流の裾野を地方にまで広げるため、日露地域交流年を開催することが決まった。これに先立ち第5回日露観光促進協議会では、23年に訪日ロシア人20万人、訪露日本人20万人の計40万人に引き上げる新目標が掲げられた。

 民間も日露間交流の動きに呼応している。昨年4月、官民合同の訪露ミッションとしてJATA(日本旅行業協会)の菊間潤吾副会長ら関係者がサハリンを訪れ、官民共同企画として「サハリン大自然の旅」が商品化された。JATAの アウトバウンド推進協議会 (JOTC)では12月4日、秋に実施したロシア・シベリア研修旅行の報告会を兼ねて旅行業関係者に現地の最新情報を提供した。

ロシア政府観光庁が開催したセミナー

 ロシア側の日本人旅行者誘致活動も本格化している。12月17日にはロシア連邦観光庁が初めてというべき本格的なプロモーションを日本で実施。20年にサッカー欧州選手権の一部がサンクトペテルブルクで開催予定となっていることをきっかけに、日本からの観戦客の呼び込みを図っている。

座席供給量増加が追い風

 日本人旅行者のロシア人気も高まっている。エイチ・アイ・エス(HIS)が先ごろ発表した20年の旅のヒット予測では、ロシアがナンバーワン方面となった。同社はその理由として航空座席供給量の大幅増を挙げている。航空会社は、交流人口の増加が今後も期待できるうえ、羽田空港発着枠の拡大もあり、日露路線を大幅に増強している。

 日本航空は2月28日から成田/ウラジオストク線をデイリーで運航開始する。続く3月16日には、全日空も同路線に就航するほか、3月29日から羽田/モスクワ線も開設する。ほかにもアエロフロート・ロシア航空の関空/モスクワ線、ヤクーツク航空の成田/カムチャッカ線、オーロラ航空の成田/ハバロフスク線、S7航空の羽田/ウラジオストク線と新規乗り入れ計画が目白押しだ。

 また、ホテルオークラグループはロシアへの初進出を決定。モスクワ・シェレメチェボ空港の南側で進む開発事業に参画し、22年に300室規模のホテルの開業を目指している。

 ロシア旅行を中心に取り扱うジャパン・エア・トラベル・マーケティング(JATM)は、JOTCのロシアワーキンググループのプロジェクトの一環としてチャーター便の誘致・実現に尽力し、20年に多数のチャーターを実施する。30本以上が計画されており、たとえばカムチャッカへはヤクーツク航空で成田から7月に3往復実施するほか、ヤクーツク航空で成田/カムチャッカ、S7航空でウラジオストク経由のカムチャッカ/成田線の1往復も実施する。

 JATMでは日露間の交流促進を後押しするため、日本におけるロシア情報提供にも積極的に参画していく方針で、10月には東京オフィス内に日本で初というロシアの公式観光案内所としてサンクトペテルブルクの公式案内所を開設した。また、18年のサッカーW杯ロシア大会で日本代表チームがキャンプ地としたことで知名度がアップしたタタールスタン共和国の観光情報発信にも協力し、公式日本語観光案内や地図の作成を手掛けている。

 さらに次世代の日露交流をにらみ、ロシアへの教育旅行促進にも取り組んでおり、従来取り組んできた大学生の語学研修や高校生の学校間交流に加え、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)の研修旅行などの取り組みを強化しているところだ。