日本の観光競争力は世界4位、ブランド戦略の評価急落で課題も
2019.09.16 01:00
国際的な経済研究機関の世界経済フォーラム(WEF)が世界140カ国の旅行・観光競争力をまとめた調査で、日本はスペイン、フランス、ドイツに次いで17年の前回調査と同じ4位となった。上位10カ国に欧米がひしめくなか、アジアは日本のみで、観光先進国と肩を並べる地位を確立している。ただ、前回より順位を落とした評価項目が増え、課題も浮かび上がった。
日本に次ぐ5位に米国、以下、英国、豪州、イタリア、カナダ、スイスと続いた。米国と英国の順位が入れ替わったことを除き、顔ぶれに変化はない。
観光競争力は、事業者や市場を取り巻く環境、観光政策、受け入れインフラ、自然・文化的資源の4領域とそれらを細分化した14項目90指標で測る。主要14項目のうち、日本は7項目で順位を上げた。改善が目立ったのがビジネス環境、安心・安全、地上・交通インフラ。質の面ですでに世界トップクラスの評価を得ている鉄道に加え、港湾の評価が上昇した。大型クルーズ客船の寄港増を受け、主要港で急ピッチで進められているターミナル整備などが反映されたとみられる。
一方で、順位が下がった項目数は前回の4から6に増えた。旅行・観光の優先度はランクを5つ下げて23位だった。その構成要素となる国家施策としての優先度が20位、国のブランド戦略の的確さに至っては108位まで急落し、平均以下の低評価だった。国際観光市場の成長を見据えて観光分野に力を入れる国が増え、国家間競争が激化していることと無縁ではなさそうだ。
環境維持は9つ下がって56位だった。環境保護の規制の厳密性と施行の両面で順位を落としたことが響いた。この分野で先行する欧州が高評価を付け、日本は後れを取っている。
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