国のMICE政策「物足りない」 業界団体が提言 産業化へ正当な評価求め
2024.04.22 00:00

日本コンベンション協会(JCMA)は、MICEの産業化に向けた提言を観光庁に提出した。国は昨年、「新時代のインバウンド拡大アクションプラン」を策定し、MICE 関連では国際会議開催件数や展示会・見本市の外国人参加者数などの目標と施策を打ち出し、強力に推進する構えを見せている。しかし、「MICEを産業として捉えたものとしては依然物足りない感がある」として、政策と予算の充実を求めた。
MICEの意義が正当に評価されていない――。提言からは関係者のそんな思いがにじむ。要望の1つは、インバウンド前提の政策の見直しだ。日本で開催されるコンベンション全体で見れば、国内の団体・学会等が主催する国内会議が95%を占め、他の国・地域も参加する国際会議はわずか。国内MICEの経験が国際MICEの積極的な誘致や運営・演出力の向上につながると見る。
省庁連携にも注文を付けた。アクションプランの策定後に開かれた推進会合は1回のみだとし、観光庁が強力に主導することの必要性を問いかけた。展示会を所管する経済産業省との連携も希薄だと指摘した。
強く要望したのが、政策実現のための予算の充実だ。24年度の観光庁予算503億円のうち、MICEは9億円。MICE施設の無線LAN整備やコンベンションビューローの誘致体制の強化などに充てられる。しかし、主要都市の施設はアクセスや周辺環境に課題も多い。市街地再開発事業にMICE施設を組み込んだ事業への財政的支援を求めたほか、MICE施設を核としたまちづくりのような施策が必要だとした。
特に国際観光旅客税を用いた予算に関しては、補助事業に多くの応募がなされるよう補助率や公募時期の見直し、複数年の予算措置を求めた。
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