東京都、宿泊税増税の方向示す 定率制移行も示唆 税収16.7億円で京都の半分以下
2023.10.30 00:00

東京都の税制調査会は税制改革の一環として検討してきた宿泊税に関し、税の水準を引き上げるのが適当との報告書を取りまとめ、10月26日に小池百合子知事に手渡した。宿泊料金の上昇、外資系高級ホテル等の高額な宿泊の増加、観光産業振興費の増加を踏まえた。
現在は宿泊料金1万円以上1.5万円未満で100円、1.5万円以上で200円を徴収している。しかし、高額な宿泊が増えているため、新たな税率区分の設定などを検討すべきとも指摘した。
税率については、定率制に移行することも示唆した。宿泊料金の変動など、社会経済の変化に順応しつつ、高価格帯のホテル等への宿泊に応分の負担を求める観点から有効との考え方だ。一方で、現行の定額制は宿泊者に分かりやすく、ホテル・旅館にとっては徴収の際に税額を計算しやすいなど事務負担が小さいといったメリットも認める。
東京都の宿泊客は海外客・国内客・都内客とさまざまで目的も多種多様。このため、受けた利益に応じた税負担をすべきとされる応益課税の考え方から、課税趣旨と税収使途との関係で課税対象者等を整理する必要があるとした。公平性を踏まえれば民泊も対象とすることが考えられるが、事業者の事務体制が整っていないことも多く徴税コストが高くなる恐れがあり、費用対効果を勘案する必要があるとする。
宿泊税は都が全国に先駆けて02年10月に導入。今年4月1日現在、3都府県5市1町で導入済み。しかし都では、宿泊税を原資の一部に充てる観光産業振興費が年々増加する一方、宿泊税収は横ばい。高級ホテルから相応の額を徴収している京都市の半分以下の税収にとどまっている。
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