『京都一周トレイル』 近場の旅ルートを気の向くままに
2020.07.27 00:00

どこにも行けないし、宿も予約で満杯!とはいかないし。じっとしてるのにも飽き飽きして、ついに歩き始めてしまった。前から気になっていた、その名も京都一周トレイルである。
ご存じのとおり、京都はぐるりと山に囲まれた盆地のような地形だ。清水寺がある東山は有名だが、西にも北にも山があって、この地形が都の防御壁にもなり、同時にたくさんの寺社仏閣が立ち並ぶ祈りの場にもなった。
京都一周トレイルはこれらの山をつなぐトレイルルートで、伏見から比叡山、鞍馬、高雄、嵐山、苔寺へとつながる全長およそ83.3kmのコースと、京北地域を巡るおよそ48.7kmのコースがある。前者は方角で東山、北山、西山の3コースに分けられ、道標も整備されているので、いつでも好きな所から歩き始められる。伏見稲荷や銀閣寺もルート上にあるので、お寺でも見ながらのんびり歩くのかな、なんて思い、サイトを参照しつつ全長24.6kmの東山コースから始めたのだが。
めっちゃ山。
清水寺の裏山とか大文字山から比叡山とか、たまに住宅地に降りつつ、ずっと山道。ぜえぜえいいながら毎回8kmくらい歩いて、3回でゴールの比叡山にたどり着いた。観光している余裕はなかったが、山道の途中で出くわすお社や史跡の多さはさすがに目を見張るものがあり、まろやかな山容にも癒やされる。こんなご時世なので、ひとりで歩いたり走ったりしている人も多く、歩いていても励みになる。
東山ではまった私は15年ぶりにトレッキング靴を新調し、新品のバックパックまで買ってしまった。次回からは比叡山からスタートする北山コースだ。ご近所で安全な楽しみを発掘する工夫、しばらくは続きそうだ。

山田静●女子旅を元気にしたいと1999年に結成した「ひとり旅活性化委員会」主宰。旅の編集者・ライターとして、『決定版女ひとり旅読本』『女子バンコク』(双葉社)など企画編集多数。最新刊に『旅の賢人たちがつくった 女子ひとり海外旅行最強ナビ』(辰巳出版)。京都の小さな旅館「京町家 楽遊 堀川五条」「京町家 楽遊 仏光寺東町」の運営も担当。
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