観光開発指数、日本は3位後退 世界経済フォーラム調査 需要の集中など課題
2024.06.03 00:00

世界経済フォーラム(WEF)がまとめた23年の旅行・観光開発指数で、日本は世界119カ国中3位となった。前回(21年)の1位から後退した。評価対象項目のうち「旅行・観光の持続可能性」が51位と低く、中でも有名観光地への需要の集中や季節変動に対する評価は106位に沈んだ。日本が現在向き合っている課題があらためて浮き彫りとなった格好だ。
首位は米国で2位スペイン、日本を挟んでフランス、豪州、ドイツ、英国、中国、イタリア、スイスと続いた。上位10カ国中6カ国を欧州が占め、順位の変動はあるものの顔ぶれは同じ。唯一、シンガポールに代わって中国がランクインした。
隔年で行う同調査は、事業・市場環境、旅行・観光政策と実現の条件、インフラ、旅行・観光資源、旅行・観光の持続可能性の5領域とそれらを細分化した17項目102指標で測る。コロナ禍を経て指標が見直され、21年から持続可能性に重きが置かれるようになった。
領域別に見ると、日本は旅行・観光資源が3位。文化的資源への評価が高く、グローバル企業の進出度合いを含む非レジャー資源も押し上げ要素となった。インフラ(14位)と事業・市場環境(18位)も得点で世界平均を大きく上回った。インフラは民泊など短期賃貸物件数やホテル・飲食店の生産性に対する評価が低いものの、鉄道や公共交通サービスの質で1位を維持した。
一方、順位が低かったのが、旅行・観光政策と実現の条件(54位)、旅行・観光の持続可能性(51位)。特に後者の足を引っ張った要因は需要の偏り。国際観光客のピークシーズンの割合の多さで111位、文化財と景勝地への需要の集中度合いはいずれも90位台だった。
【あわせて読みたい】2022年7月25日号>世界1位の観光競争力 変化する世界の物差しと評価 旅行・観光開発指数で日本1位 インフラや資源に高評価 政策面は60位
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