変革迫られる観光、次世代が鍵 観光立国リーダーらの認識一致

2024.10.07 00:00

9カ国・4国際機関のリーダーが集結し、観光産業の未来に向けて意見を交わした

 コロナ禍から回復し成長へと向かう観光産業にとって、変革と若者の参画が重要な課題になる―。9月26日に都内で開かれたツーリズムEXPOジャパン(TEJ)観光大臣会合で、そんな認識が世界の観光立国のリーダーから異口同音に発せられた。「新たな旅の創造」をテーマとする会合に9カ国と4つの国際機関が集結した。

 国連世界観光機関(UNツーリズム)は「世界の観光産業は重要な岐路に立ち、抜本的な変革が求められている」と問題を提起。持続可能な観光、女性のエンパワーメント、テクノロジーの活用などを挙げ、具体的な行動を起こす必要があるとした。なかでも地域や環境に配慮した観光は各国共通の課題だ。

 オーバーツーリズムに直面するギリシャは「観光客と住民の双方に好影響を与える長期的な成長に向けて戦略のシフトが必要」とする。一例に、グリーンエネルギーなど対象がより広範な計画に観光を組み入れる案を示した。

 変革の鍵を握るのは若い世代だ。外国人観光客が急増するなか、再生ツーリズムに軸足を置くブルネイは「質の高い観光を推進するためには、包摂性などを重視する若い人々を取り込んでいかないと」と述べ、観光政策への参画を促す重要性を指摘した。

 若者の業界への関心を引き付けるため、世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)はポッドキャストを活用している。どんな仕事がありキャリアが形成されるのか、積極的に発信すべきとした。

 若者の関与を強調するのはモンテネグロも同じ。ただその視点は世界平和に及ぶ。「対立が起きているなか、観光は単なる産業ではなく、安定を実現できる強力なツール」と訴える。若者が親善大使のようになる学びや経験の提供が重要としている。