ガイド不足問題で中間とりまとめ 観光庁有識者会議 初心者支援や閑散期対策

2024.07.29 00:00

 外国人観光客に地域の魅力を伝えるローカルガイドの人材不足やスキル向上に向け、観光庁の有識者会議は5月から重ねてきた検討の結果を中間とりまとめとして公表した。ガイドは地域の付加価値を高める存在である一方、報酬の低さなどを背景に全国的に不足している。地域は担い手の裾野を広げ、通年での就労が可能となるような安定した需要の創出、就労環境の改善などに取り組むべきと指摘した。

 担い手の裾野の拡大では、移住者、副業、セカンドキャリアなど人材の活用が鍵と指摘。これらの初心者でも働き、実戦経験を積むことができるガイドツアーのエントリーモデルの創出などが有効とした。

 プロ意識と高いスキルを持つガイドの育成も取り組むべきことの1つ。目標にできるようなローカルガイドのトップ層の報酬やライフスタイルなどを明らかにした上で、実現のステップを示すことや、ガイドの質に応じた報酬制度を導入することなどを求めた。

 安定的な需要づくりでは、季節などによって変動する需要に柔軟に対応できる供給の仕組みを地域で確保することが有効だと指摘する。ガイドの供給可能量を可視化するシステムの構築が一例。また、地域の特性を生かした定番商品を造成して供給力の向上を図る必要性も示した。繁忙期は副業ガイドなどを活用する。

 一方、専業者が安心して働ける環境として、閑散期でも活動できる新たなコンテンツやイベントの企画、他地域で活動できる広域のガイドネットワークの構築が考えられるとした。

 有識者会議は今後、ガイド事業の全体像をより把握するための調査を行うほか、地域の特性に応じたセグメントごとの検討を進める。

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