海外旅行の回復、夏もスローペース 物価・燃油高騰で逆風 業界挙げて需要喚起
2022.07.18 00:00

旅行各社の海外パッケージツアーの再開が相次いでいる。行き先は30~40カ国に広がり、今年の夏休みは水際対策緩和後で初とあって期待がかかる。その一方で予約状況は鈍く、市場の回復が思うように進んでいない。
JTBは夏休み期間(7月15日~8月31日)の旅行動向見通しで、日本の海外旅行者数を50万人と推計した。昨年の約5.5倍だが、19年比83.0%減。個別企業でも、エイチ・アイ・エス(HIS)は6月13日時点の夏休みの海外旅行予約が約22倍に上るが、19年の1割程度にとどまっている。
海外旅行の販売状況について、JATA(日本旅行業協会)の酒井淳副会長(阪急交通社代表取締役社長)は、「募集型企画旅行の予約のほとんどが8月以降でコロナ前の1桁水準」との現状を示す。「興味・関心は非常に高いが予約につながっていない」。業務渡航は3割程度まで回復しているのに対し、レジャーの遅れが目立つ。
足かせは帰国前検査や入国者数制限など水際対策だが、ここにきて円安や物価上昇、原油高が加わった。燃油サーチャージ改定が相次ぎ、全日空は8月から北米・欧州・オセアニア線で往復9万8000円、ハワイは6万2200円に跳ね上がる。一方で消費者の懐事情は厳しい。JTBのアンケート調査では、「家計に余裕はない」との回答が24.0%で前年比10.2ポイント増。円安や物価上昇を理由に「今年度は海外旅行はしたくない」は最多の18.8%を占めた。
需要を喚起しようと、JATAは海外旅行再開プロジェクトを開始した。7月15日、8都市の街頭で旅行・航空会社や観光局が宣材物を配布し、空港でのポスター掲出やSNS キャンペーンを展開。海外旅行の再開を印象づけ、機運を醸成する。
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