ワールド航空の不正受給疑い、雇調金返還と経営陣刷新を提言 管理が世間と乖離
2021.12.06 00:00

ワールド航空サービスが雇用調整助成金を不正に受給した疑いに関し、同社が設置した第三者の特別調査委員会は11月30日に最終報告をまとめ、受給した全額または一部の自主返還を検討することが望ましいと提言した。故意による不正の有無については、適法性の検証や事実認定に足る情報が乏しく「明確に判断できない」とした一方、勤怠などの管理体制や内部統制システムが「あまりにずさん」と断じ、経営陣の刷新を求めた。
同社は昨年3月から今年5月までに4億5384万円の雇用調整助成金を受給しており、最終報告によると、このうち約1億7800万円が不適切な申請に基づく受給だった可能性がある。生業とする海外旅行がコロナ禍で消失し、国内営業に注力するとともに雇調金を活用した休業による収入確保を重視。ただ、タイムカードなど勤怠の管理が不在で指示もルール化されていないなど、管理体制の欠如が露呈した。海外添乗も自ら行う仕事の魅力が社員の働きがいにつながっていたが、海外旅行の停止に伴い不満も生じていたようだ。
同日会見した第三者委委員長の久保利英明弁護士は、収入源をほぼ100%失ったなかで解雇や給料遅配がないのは「奇跡」とする一方、従業員100人以上を擁し、売上高約80億~90億円に上る会社の社会的責任に言及。「旧来型の個人企業から発展し、無理からぬとはいえ、世の中の基準から考えても相当ルーズ」と指摘した。
経営陣の刷新は緊急事態を乗り越えた時点でとした。だが、疑惑を受けて予約キャンセルなどが続いており、「早く体制を整備し納得してもらえないと回復は難しい」との私見も示した。ワールド航空は今後の対応方針を可及的速やかに検討するとしている。
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