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概要

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TRAVEL JOURNAL 2014.6.16 94 斉藤茂一 レジャーサービス研究所所長購買パワー獲得術SEMINAR 店頭での接客、商品の仕入れ、訪日客のアテンドなど、それぞれに役割が違うが、それらが噛み合うと中国人客の購買パワーを十二分に引き出すことができる。今回は、セミナーで参加者からの反応が良く質問が多い部分を紹介したい。 最も多い質問は、「同じ中国人観光客のツアーでも、団体ごとに消費単価が大きく違う。原因は何か」というものだ。原因はいろいろ考えられるが、大きなものとしてはツアーのルートが挙げられる。たとえば、北京→東京→国内移動→福岡→北京というルートをたどるとすると、家電や化粧品などの買い物は東京で済ませてしまっている場合が多い。そうすると、福岡の家電量販店や百貨店での購買額は低いのが一般的だ。ただし、売れる店と売れない店の差は、ツアーの後半になればなるほどはっきり表れる。 違いは何かと言えば、ツアーの後半に売れる物を準備しているかどうかだ。一例として、菓子類などの食品が挙げられる。いよいよ帰国となれば、友人知人への土産として買う。日本のお菓子は好評だが、半生商品が多いので、少しでも鮮度が高く賞味期限が長い物を土産にするため、最終日やその前日に買いまくる人が多い。そのため店舗では頻繁に品切れを起こす。まずはこれが課題だ。その他の商品を買ってもらいたい気持ちはわかるが、欲しい物がなければ買わない客は結構いる。予測をしっかり立てて仕入れなければならない。 次に意外に難しいのが酒類だ。和食の普及とともに清酒や焼酎への興味は高まっている。しかしながら、ツアーの後半は飛行機に預ける荷物の重量が気になる頃で、酒類も重さとサイズで選ぶ場合がある。そのため、大中小と異なるサイズをそろえて置く必要がある。 ツアーの後半に立ち寄る客へのわかりやすい販促対策としては、できるだけ小さくて軽い物を用意することが肝心だ。こうした取り組みは国際線ターミナルのある空港内の店舗を見ると勉強になる。客が重さを気にすることを理解している店では秤を用意しておき、商品の重さがひと目でわかるようにしている。ホテルでも工夫している施設は、フロント近くに重量計を用意している。観光客がキャリーケースを乗せて、あと何㎏分は買えると考えるのに役立っている。 一方で、ツアーの後半になっても、友人知人に頼まれていた土産リストの中でまだ買えていない物が必ずある。人脈が大事な中国人だから、そういう人はたいてい焦っている。そんな客には、百貨店のインフォメーションなどで「お探しの商品は何でしょうか?」とリストそのものを見せてもらえれば理想的だ。店で取り扱っているものをすべてそろえてあげればいい。こうしたサービスは中国の高級百貨店では実施されている。 いずれにせよ、団体ツアーのルートなどの情報を得ることはとても大事で、うまく対応できれば消費は伸ばせるし、逆なら落ち込むことになる。購買アップの鍵はツアー後半人事異動のシーズンにあたる4~5月は全国でインバウンドの基礎に関するセミナーの依頼が多かった。セミナーでは、新任者向けに旅行の流れと担当部署ごとの役割について、主に話をする。店舗の販売現場だけでできることは限られているからだ。Case73秤で買える量をチェック