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概要

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92 TRAVEL JOURNAL 2014.6.16 ニュースに見る海外の旅行ビジネストレンド トラベルエージェントとは、世界の業界用語で「旅行を旅行者に直接販売する個人」(会社はエージェンシー)を意味しており、社内で経理などバックオフィスの仕事をする人は含まれない。エージェントは顧客からいろいろな相談を受けるから、トラベルコンサルタントとも呼ばれる。エージェントは販売に必要なスキルを身に付けている人間だが、急成長してきたオンライントラベルエージェンシー(OTA)は、ウェブという「モノ」が旅行を販売する。エージェントの伝統的な職場である市中店舗は次第に減少しているが、それはモノとの競争に敗れている証拠だ。一昨年、トーマスクックは店舗の5分の1を一挙に閉鎖した。 典型的なエージェントは、街の近くの小さな店で専門的知識とアフターケアを含むフェイス・トゥ・フェイスのサービスで顧客と関係を築いてきた。旅行という高額商品にお金を払う顧客は、エージェント個人にも企業ブランドにも情緒的な愛着を持ってひいきになった。一方、店舗を持たないOTA は、人間味は欠くがウェブの効率と低料金で市場を拡大してきた。しかし近年、大型OTAの寡占が進み、激しいグローバル競争に生き残るためにサービスの改善によって顧客の信頼を得る必要に迫られている。ここで最近、取り組んでいるのがコールセンターの充実だ。市場価値で旅行業最大のプライスラインやエクスペディアなどもコールセンターを増強し始めた。英国のサンシャインという会社のように、電話番号も表示しないでウェブだけで勝負するOTAもあるが例外だろう。 オートメーションが進んでも、人と電話で話したい消費者の要求は変わらない。コールセンターの要員は文字どおり、セールスコンサルタントとして顧客と最初のコンタクトで最も好印象を与える対応が求められる。ブッキング・コムはプライスラインの一部だが、コールセンターを顧客のロイヤルティにつながる重要な収入機会ととらえ、電話窓口に最良のスタッフを配置する方針を示した。同社は予約の電話番号は宣伝しないが、問題が生じた顧客には積極的に電話するよう推奨している。 他国籍の同社コールセンターは、運営する41カ国で21言語でサポートし、顧客との通話は最適のスタッフにつながる。問題が生じたときに適切な話相手がいなければ、会社の信用は失墜する。コールセンターの重視は同業他社も同じで、昨年の調査によると、英国全体でコールセンター要員の平均賃金は、14年に急速に上昇して3.5万ポンドと市中店舗の1.8万ポンドを大幅に上回った。コールセンターの顧客サービス改善のためにオンラインレビューサービスのフィーフォ社も利用できる。同社と契約した各社に顧客のフィードバックによる商品とサービスのレビューを提供する。エクスペディアは、同社から毎週受け取る情報でコールセンター業務が著しく改善したとされる。 大手各社は、IT会社が提供するライブチャットやインテリジェントなFAQ など最先端技術を積極的に採用している。情報技術は絶えず進化しており、次元が違う顧客サービスが生まれる可能性がある。伝統型エージェントはOTA の顧客サービス水準が自分たちに絶対及ばないと過信してはいけない。コールセンターとテクノロジーは進化する。vol.222文/ KS =グループ4コールセンターで勝負する◆◆◆◆◆◆