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TJ20140616_BN
●高齢者人口の推移年次総人口(万人)65歳以上人口70歳以上人口人口(万人) 割合人口(万人) 割合2013 12,726 3,186 25.0% 2,317 18.2%2015 12,660 3,395 26.8% 2,424 19.1%2020 12,410 3,612 29.1% 2,797 22.5%2025 12,066 3,657 30.3% 2,950 24.4%資料:総務省統計局「人口推計」「日本の将来推計人口」とカウントされるが、日本人訪問者数では韓国、中国それぞれで1人とカウントされる。また、これらは各国の統計を引用した数字で定義がそれぞれ異なる場合があるため、横比較には適さない。しかしここでは、この統計の意味合いを理解した上で、大まかな傾向を把握するために用いたい。 各国の統計が出揃っている12年を見ると、韓国と中国がほぼ同数で1位・2位となり、以降上位から順にハワイ、台湾、タイ、米国(ハワイ・グアム除く)、香港、グアムと続く。日本人の海外旅行先として人気の高いハワイ・グアムが加わる以外、訪日外国人旅行者数の上位国と顔ぶれは同じである。各国の値の単純合計に占めるシェアで見ると、パキスタンまでを含むアジア全域で61%、ハワイ・グアムが10%、米国(ハワイ・グアム除く)が5%となっている。訪日外国人旅行者数の70%以上がアジアからの旅行者であることに比べれば偏りは小さいが、それでも近距離の旅行者が多くを占めることは訪日外国人旅行者の傾向と同様である。 したがって、海外旅行者数2000万人という数にこだわるのであれば、ヨーロッパ等の長距離旅行者の増加では大きなインパクトは期待できない。現状、アジア・ハワイ・グアムで計70%を占めているが、それらの中近距離旅行者をいかに増やしていくかに注力すべきであろう。 訪日外国人旅行者数もアジアからの旅行者が大半を占めており、アジアと日本の間の旅行の利便性をこれまで以上に高めることで、訪日外国人旅行者と日本人海外旅行者の双方を底上げすることにつなげることができる。 将来の海外旅行者数の増加を見据えた具体的なアクションの検討にあたっては、日本人の海外旅行の消費者の動態変化に着目し、市場を理解することが重要である。まず、少子高齢化の影響は非常に大きいだろう。総務省統計局の「人口推計」によると、13年は65歳以上人口が3186万人で、全人口に占める割合は25.0%である。一方、同「日本の将来推計人口(12年1月推計)」によると、20年には65歳以上人口が3612万人で、全人口に占める割合は29.1%となる。総人口が減少するなか、海外旅行消費者に占める高齢者の割合が増えることは確実であり、海外旅行者数を確保するためには高齢者市場へのさらなるアクセスが求められる。また、高齢者といっても、これからの高齢者は海外旅行経験も豊富な人がこれまで以上に増えることから、従来の高齢者向け旅行商品とは異なる工夫が求められる。単価が高い旅行を行うケースが多い高齢者市場をいかに開拓するかが、海外旅行者数の増加だけでなく、旅行会社・航空会社にとって今後ますます肝要となるであろう。 また、世界経済における日本の相対的な地位(シェア)の低下による消費者の経済力の低下も日本人の海外旅行市場に影響を及ぼすと考えられる。今や、日本よりも物価が高い国・地域は数多くあり、かつてのように相対的に安い物価を海外旅行先で享受できる機会は少なくなっている。航空券の低価格化等では相対的な物価の上昇を吸収しきれないことも想定され、さらに低価格な海外旅行商品高齢者向け商品への工夫が必要TRAVEL JOURNAL 2014.6.16 74