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概要

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TRAVEL JOURNAL 2014.6.16 57次の半世紀へPart 2 ● 思い|特|集|いしだ・いあん●1989年生まれ。2011年3月、中央大学在学中に、一般消費者がインターネット上でツアーのアイデアを投稿し、企画から集客、実施までサポートするトリッピースを事業化、会社設立した。13年までにベンチャーキャピタルなどから総額約3億円の資金調達を実施。14年1月にはシンガポールに子会社を設立し、訪日事業への進出も図っている。Profi leやまだ・まなぶ●1934年生まれ。56年に近畿日本ツーリスト入社。国際線チャーター導入などを手がけ航空旅客営業部長など歴任。72年にハローワールド(78年全日空ワールドに社名変更)を設立し常務取締役。「地球が教室、先生は地球、教科書も地球」をテーマにグアムで地球人学校を開く。全日空ワールド代表取締役副社長を経て、99年から2014年5月まで旅行産業経営塾塾長を務めた。同塾編集による『塾長・山田學の物語』が出版された。Profi le撮影協力/ST COLLECTIONなものにしたことは大反省しないといけないね。石田 そうですね。僕のネット上でのこだわりは2点あって、価格で検索させないこと、日程で検索させないこと。本来、旅は休みがあるから行くものではない。多少高くても行きたいと思う旅、多少仕事が忙しくても休みをとりたいと思う旅であってほしい。IT の導入で検索はしやすくなったし、旅行会社にとっては仕方がないことだと思いますが、価格や期日での検索をユーザーベネフィットとすることに僕は疑問があります。山田 予約サイトが、自己の効率のためにお客を無視している感は否めないね。石田 あるものを組み合わせるのではなく、ないものを生み出すことも大切だと思います。たとえば、最近流行っているのがカラーラン。走りながら色のついたでんぷんの粉を掛け合うイベントですが、それに1万人集まる。この非日常感や楽しさは、本来旅が提供していたものですよね。こうしたイベントを地方で開催し、それを周辺観光につなげていくのもひとつのやり方ではないかと。つまり、皆の求める感動を、周辺地域も考えてゼロから体験を作り出していくということです。山田 そうだね。ツーリズムはいろいろな形でできる。地域にある宝物を材料としてもいい。僕は滋賀県長浜市の出身ですが、ひとつアイデアがあるんですよ。昔から「北近江を制する者は日本を制する」といわれていますが、姉川の合戦で織田信長、賤ヶ岳(しずがたけ)で豊臣秀吉、伊吹山の麓にある関ヶ原(岐阜県)で徳川家康が天下をとった。その合戦を追体験するような「合戦体験」ができないかと思っているんです。城など文化財はいくらでもある。みんなで真剣に考えて地域を活性化させないと日本は元気にならない。石田 合戦体験、面白そうですね。僕らの世代に欠けているのは使命感かもしれません。人口減少で日本経済が縮小するなか、海外とつながることは重要なこと。旅は民間交流の側面もある。業界再活性化に使命感をもってやっていきたいと思います。山田 「何をしたか」でなく、「何のためにしたか」を念頭にした活躍を期待しています。