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概要

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TRAVEL JOURNAL 2014.6.16 56 石田 本当にそうですよね。旅行会社という名前しかないことに、僕は違和感があります。山田 そう、旅行業という範疇はもう要らない。石田 旅行産業という言葉で自分たちの視野を狭めている気がします。山田 そうそう。車もコンビニも、すべて幸せ産業だといわれるかもしれないけど、要はその核に旅があればいい。そうすれば僕たちがやっている価値がある。誇りに思えるよね。旅のチカラとは「人を元気にする、豊かにする、生き生きとさせる」ことなのです。山田 6年後には東京で五輪が開催されますね。僕にとっては2回目の東京五輪です。石田 僕が30歳になる年です。18 ~ 19年に株式上場して資金調達し、公式スポンサーとして名乗り出るのが理想。ただ、20年だけを意識するのではなく、日本のブランディングそのものに集中すべきだと思っています。五輪を機に1 ~ 2年は海外の人が東京を訪れてくれるでしょう。勝負は、いかに情報網を作り、日本に旅行するいいイメージをネットに根づかせられるか。同時に、来日した人が日本のどこに行くのか、どこが好きかをマーケティング調査する。今やっていることを淡々と続けるのが正しいやり方かなと思っています。山田 1964年当時、新幹線や高速道路ができて日本そのものが大きく変わった。今度は産業そのものが変わるでしょう。ツーウェイツーリズムが発展すると思います。石田さんはインバウンドを取り込むためにシンガポールに会社を作りましたね。シンガポールから日本へだけでなく、シンガポールから香港、中国など第三国間の事業もやればいい。旅客だけがアウトバウンド、インバウンドといっているけど、貨物の世界は、日本を介さない第三国間でも広がっている。石田 そうですね。山田 ツーウェイツーリズムが進めば、政治の世界も動く。今起きているおかしなナショナリズムを解決するのは人が交流して理解し合うことです。ぜひそれをやってほしい。インバウンド、アウトバウンドどうのこうのではなく、人類の平和という大きな観点でやってくれたらいいと思います。石田 まさに僕たちの次のフェーズです。実は僕の祖母は広島で被爆していて、祖父はハワイ人の血を引くハーフで、パールハーバーで亡くなったと聞いている。その祖母が小学生の僕に言ったのは、肌の色や宗教じゃなく、人は人として判断しなさいということ。その意味が、旅をするようになってわかるようになりました。出会って話して誰かを嫌いになるのは仕方がない。でも肌や宗教で判断するのはすごくさみしいことです。こうした血縁を持つ僕だからこそできることがあると思う。山田さんのおっしゃるように、解決するのは旅や交流体験です。現地で交流した後にフェイスブックなどでつながるようになれば、もっと親近感のある世界になるのではないでしょうか。こうしたことにも徐々に取り組みたいと思っています。山田 偶然だけど、64年の東京五輪のとき、僕も30歳でした。当時は海外から選手団を乗せてくる航空便は、カラで自国に帰って、カラで迎えに来る。それを利用して日本人旅行客を乗せるチャーター便を初めて実現したんです。当時とは環境が違うけど、大きな転機は来ると思うね。20年の東京五輪はあなたの出番ですよ。石田 これからのツーリズムを考えるとき、僕は一回原点に戻ることが必要だと思っています。旅とは何か。人は何を求めているのか。それはどうしたら提供できるのか。そういったことを突き詰めて考えてみる。皆さん、難しく考え過ぎかもしれない。人が海外旅行になぜ行かなくなったのかといえば、楽しそうに見えないからです。海外旅行は行ってもらうものでも価格で訴求するものでもありません。行きたくなるものでなくてはいけないしその価値がある。それをどうしたら伝えられるか考えるべきです。山田 旅を仕事にしている人間自らが旅をチープゼロからの体験づくりで五輪の民間交流で世界平和を