ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

TJ20140616_BN

TRAVEL JOURNAL 2014.6.16 53次の半世紀へPart 2 ● 思い|特|集| Interview山田 実はね、私が55歳のときに生まれた末の息子が、石田さんと同じ1989年生まれなんです。石田 そうなんですか!?山田 米国の友人は息子を「ミラクルボーイ」と呼びました。だから今日の対談はミラクルインタビュー(笑)。僕は、旅行の現場で43年、旅行産業経営塾を始めて15年、トータル58年間を旅行産業界で過ごしてきました。そんな人間が、これからの旅行産業を背負う石田さんのような新進気鋭の人と話ができるなんて、うれしいね。石田 僕も光栄です。山田 僕が就職した当時、「旅行・観光産業」という概念は全くありませんでした。社会的に認められていない産業だった。「ぽん引き」と言われて悔しい思いをしたこともある。どんな産業も歴史があって今がある。懐古するのではなく、不要なものや無駄なもの、大事にすべきものを取捨選択できれば、今流行の「レリゴー(Let it go)=ありのまま」の主役になれるんじゃないかな。今日の対談は、すれ違ってもいい。若い人がこの産業で仕事をしたいと思う要素を見つけてくれれば、成功じゃないかと思っています。石田 そうですね。山田 振り返ってみて、僕が今日までやってこられたのは「Travel gives life.」という言葉と出合ったからだと思っています。僕はこのゲーテの言葉を「旅は人に生きる喜びを与えるもの」と意訳しました。社会人3年目で見つけたこの言葉に僕は救われたんだよね。石田 Travel gives life.―僕も全く違和感ありません。旅は人に感動を与えるものだと思っています。聞こえてくる言葉、街の匂い、食べるものの味……五感すべてが未知のものに浸る瞬間は旅しかありませんから。価値観は、好きな物や嫌いな物に出合って初めて自覚するもの。感動の触れ幅の大きいほど、それを強く自覚します。山田 違和感がない、か。僕としては意訳に感動してほしいところだけどねぇ(笑)。石田 あ、そうでしたか! ただ、おこがましいのですが、僕が生まれたときには、海外旅行も国内旅行も普通のことだったんです。初めて海外に行ったのが3歳頃。今は、バイトや仕事をがんばれば、すぐにハワイに行けてしまう時代なので、正直、旅行のありがたみが違うんですよね。山田 そのとおりだね。時代が違う。石田 ただ、僕自身、見向きもされず、苦しかった時期を乗り越えてこられたのは、旅の力、旅で出会う人との体験を信じていたからです。起業当初は100人中99人に「応援はするけど、失敗する」と言われましたから。旅を仕事にするということ海外チャータービジネス導入や地球人学校創設など数々の新機軸を打ち出し海外旅行の半世紀を築き上げた山田學氏(前・旅行産業経営塾塾長、80歳)と、インターネットを活用し消費者のアイデアを旅の形にするトリッピースの事業化で新たな半世紀を開こうとしている石田言行氏(トリッピースCEO、24歳)。50歳以上年齢の離れた2人が「旅を仕事にするということ」をテーマに語り合った。構成/佐藤淳子 写真/眞柄卓也思いをつなぐ