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概要

TJ20140616_BN

人ビザの緩和、JTBが中国人海外旅行の取扱認可を受けるなど体制が整いつつあっただけに、当面の当てが外れた形となった。新たなターゲットとなったのは、ビザが緩和されたアセアン諸国と、有望市場としてのムスリムである。 国内旅行市場も活況を呈した。HIS は国内旅行に本格的に参入、銀行や信用金庫も観光分野への進出を始める。そしてこの年、着地型旅行促進のために、少ない営業保証金で始められる「地域限定旅行業」が設定された。 13年から14年にかけて、旅行会社の統合や提携の動きがさらに活発化している。13年1月、KNTとクラブツーリズムが10年ぶりに経営統合。2月にはJTB がエクスペディアと提携を発表、8月に東武鉄道がトップツアーを子会社化し、東武トラベルとの相互補完で旅行業強化に乗り出した。大手2社のグローバル展開も加速する。HIS は2月にバンコクの国際チャーター専門会社を本格始動させ、タイ国内での店舗展開を拡大。JTB は6月にミャンマー、8月にはブラジルで現地旅行会社と合弁した。この動きは14年も続き、2月にJTB がシンガポールの旅行会社の買収を発表。4月にはHIS がインドネシア企業と旅行事業で提携した。 航空業界も慌ただしい。13年6月には早くもエアアジアと全日空が提携を解消、14年に入ってからは国内のLCC がパイロット不足で欠航が続発するなど、今後の波乱を予感させている。 14年3月には羽田空港が再拡張され、昼間時間帯に東南アジアや欧米など長距離線の発着が可能となった。発着枠の按分について全日空と日本航空の間で厳しいやりとりが交わされたが、最終的には全日空に傾斜配分される形となった。一方、成田空港は、中東系航空会社やLCC の誘致で羽田にない個性を目指している。 13年に訪日外客数は1000万人を突破し、20年の東京五輪も決定、インバウンドは「次の2000万人」を目指し沸き返っている。一方でアウトバウンドは、11・12年の需要増の反動や円安で、悲願の2000万人を前に再び足踏みを始めた。 「ツアーを作れば売れた」「電話1本で会社ができた」創成期から50年。ここまで業界が大きくなったのは経済成長やブームもあったが、成長し生き残ってきたのは紛れもない業界のパワーだ。ここからどこを目指し、何を売っていくのか。次の10年、次の50年に向けて、レースはすでに始まっている。東京五輪決定、そして2000万人へ上/エアアジアXが羽田/クアラルンプール線に就航。日本にも本格的なLCC時代が幕を開けた(2010年12月)右/日本最大の伝統的旅行会社JTBと世界最大級のオンライン旅行会社エクスペディアが業務提携を締結(2013年2月)TRAVEL JOURNAL 2014.6.16 41|特|集|次の半世紀へ